相続開始の原因

相続開始の原因
 1.自然死亡
 2.認定死亡
  水難、火災その他の事変によって、生死が不明である場合に、その取り調べに当たった官庁又は公署(海上保安庁、警察署長など)が、その旨を死亡地の市町村長に報告をし、戸籍法の定めによって、戸籍に死亡の旨が記載されるもの
  この場合、正確な死亡時刻は分からないため、戸籍には「推定午前○時」などと記載されます。
3.失踪宣告
 失踪宣告とは、一定期間、生死不明の者がいる場合、家庭裁判所に失踪宣告の審判を申し立て、公示催告の手続きを経た後、審判で認容された時に、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。
公示催告は、家庭裁判所の掲示板に掲示し、官報に掲載します。公示催告期間は、普通失踪の場合で6ヶ月以上、特別失踪の場合は2ヶ月以上です。
失踪宣告があると相続が開始し、婚姻関係の解消、死亡保険金の受け取りも行われます。
 申立人は、不在者の配偶者・相続人にあたる者・財産管理人・受遺者・保険金の受取人など、失踪宣告を求めるについての法律上の利害関係を有する者です。
 ・普通失踪:7年間の失踪期間の満了の時(7年間の起算時は、不在者の生存が最後に確認された時です)。
  離婚を望む場合は、7年待たなくても行方不明となってから3年が経過すれば、一方的に離婚をする
ことができます。

  失踪より7年経過後が「死亡日」となるので、失踪宣告を受けるまでは契約が失効することがないよう、保険料の払込を続ける必要があります。
 ・特別失踪(危難失踪):戦争、船舶の沈没、震災、火災、洪水などの危難にあった場合で、危難が去って1年間生死が明らかでない場合で、その危難の去った時に遡って死亡したものとみなされます。
 相続人が被相続人の死亡を知らなくても相続は開始し、被相続人が死亡した時に存在している者が相続人となります(同時存在の原則)。

■失踪宣告と認定死亡
 失踪宣告は民法の制度で、認定死亡は戸籍法の制度です。
 失踪宣告も認定死亡も死亡として取り扱うという点では同じですが、失踪宣告の場合には死亡したものと「みなす」ものであるのに対し、認定死亡の場合は死亡を「推認する」ことになります。
「みなす」という場合には、反対の証拠を挙げただけでは覆すことはできませんが、「推定する」という場合には、反対の証拠を挙げれば推定を覆すことができます。つまり、認定死亡の場合は、生存の事実だけで、効果が消滅し、戸籍は訂正されます。
 認定死亡は、取り調べにあたった官公署(警察、消防、海上保安庁等)が、死亡したと認定して死亡地の市町村に報告をし、報告を受けて戸籍簿に死亡の記載がされます。

■失踪宣告の取り消し
 失踪者が、生存していること、または失踪宣告による死亡時とは異なる時に死亡(異時死亡)したことが明らかになった場合、本人または利害関係人が、家庭裁判所に対して失踪宣告の取り消しを申し立てて、取り消しの決定を受ける必要があります。
異時死亡の立証の場合には、失踪宣告で死亡したとみなされた時期とは異なる時期に死亡したことを立証すればたり、実際の死亡時期まで立証する必要はありません。
 ○取り消しの効果(失踪者の死亡に伴う効果は初めから生じなかったことになる:遡及効)
  ・財産関係や身分関係が元通りに復活する(婚姻は解消しなかったことになる)。
  ・失踪宣告を原因として開始した相続により取得した財産は、原則として返還しなければならない。
ただし、失踪宣告の取り消しは宣告後・取り消し前に「善意でした行為」の効力には影響しません。失踪宣告を信じた人が既に財産を消費していた場合などは返還しなくてもよいことになり、失踪宣告により直接的に財産を得た者(相続人、財産を遺贈された者、生命保険金の受取人など)は、失踪宣告の取り消しにより財産を失う場合でも、その利益が残っている限度(現存利益)で失踪者に返還すればよいとされます。
失踪宣告が事実と異なることを知っている取得者(悪意の受益者)については全部の返還義務を負います。
ここでいう善意については、行為の当事者双方が善意であることが要求されます。
再婚している場合は、失踪宣告後に再婚した当事者双方がともに失踪者が生存していることを知らなかったときは、失踪宣告が取り消されても前の婚姻関係は復活しないとされています。 

■失踪宣告の申し立て手続き
 ●申立人の選定
  利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、財産管理人、受遺者など失踪宣告がされることについて法律上の利害関係を有する人)

 ●申立先
  不在者の従来の住所地または居所地を管轄する家庭裁判所
  申し立てがなされると、家庭裁判所は調査を行った上で、当該不在者について失踪宣告の申し立てがあったこと、不在者及び不在者の生死を知る者は3ヶ月の期間内に申し出ること等を、家庭裁判所の掲示板及び官報に掲載して広告(公示催告)します。

●必要書類等
 ①家事審判申立書(失踪宣告)
 ②不在者の戸籍謄本
 ③不在者の戸籍附票
 ④失踪を証する資料(警察署長の発行する家出人届出受理証明書、返送された不在者宛の手紙など)
 ⑤申立人の利害関係を証する資料(親族の場合には戸籍謄本)

●申し立てに必要な費用
 ①収入印紙800円
 ②郵便切手
 ③官報公告料
  ※費用については、念のため申請前に裁判所に問い合わせて確認してください。
 ・生存の申し出等がないまま公告期間が満了すると、家庭裁判所は不在者について失踪宣告を行います。 
 ・失踪宣告の審判が確定したときは、裁判所書記官は遅滞なくその旨を広告し、失踪者の本籍地の市町村長に対して通知します。
 ・失踪宣告の審判が確定すると、その事実を戸籍に反映させるために、失踪宣告の申立人は審判確定の日から10日以内に失踪届とともに審判書謄本、確定証明書を、不在者の本籍地または申立人住所地の市町村長へ提出しなければなりません。

■失踪宣告と生命保険
 失踪宣告を受けると、法律上は死亡したのと同じ取り扱いになりますので、生命保険の支払事由にあたります。

■高齢者消除
 100歳以上の高齢者について、生存の見込みがなく、既に死亡していると認められる場合に行う死亡の職権記載、すなわち戸籍の職権消除のことを高齢者消除といいます。
管轄法務局の事実調査の結果による許可で、市町村長が職権で死亡の記載をする制度です。
この制度はあくまでも行政上の便宜的措置であるため、相続の開始原因にはなりません。相続手続きを行うには、親族等からの死亡届または失踪宣告が必要です。

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