遺言

遺言 

■遺言書を残したいケース
遺言書を残すメリット
■公正証書遺言
■自筆証書遺言
自筆証書遺言の保管制度
秘密証書遺言
■法定遺言事項
■エンディングノート

相続手続き代行1−2

■遺言の執行
■遺産分割の方法
遺言書と遺留分

■遺言書を残したいケース
①相続人が一人もいない場合
 相続人が一人もいない場合は、遺産は国庫に帰属します。それを望まないのであれば、遺言者がせわになった人などに与えるなどの遺言書を作成しておく必要があります。
②子供がいない場合
 配偶者に全財産を与えるという遺言を残していなければ、故人の親や兄弟姉妹が相続人になります。「全財産を妻○○に与える」という遺言をしておけば、兄弟姉妹には遺留分がないので、すべての財産は妻のものになります。
③不動産がある場合
 住んでいる家が妻と兄弟の共有になると、売却すれば、妻が住み慣れた家を出なければいけないような事態が発生します。この場合、遺言により妻の持分を多くしたり、親の面倒を見ている長男の相続分を多く与えることで、その後の生活の安定を図ることができます。
④相続人同士が不仲の場合
⑤家業を存続させたい場合
 個人で事業をしている場合、その営業上の財産は法律上も個人の財産です。したがって相続の対象になり、それらが法定相続分により資産が分散してしまい、事業承継が不可能な事態になる恐れがあります。そのような事態に備えて、後継者に事業場の財産を相続させる旨の遺言が有効です。
⑥現在別居中で事実上の離婚状態にある配偶者がいる場合
 離婚成立前に被相続人が他界すれば、離婚係争中の妻が、法定相続分として1/2の相続ができるようになります。遺言で相続分を書き残せば、遺留分だけの相続になります。
⑦法定相続人以外の人に遺産をあげたい場合
 ・遺言者の内縁の妻(又は夫)
  事実婚の場合はどんなに長く一緒に暮らしていても法定相続人になることはできません。相続させるには遺言が必要になります。
 ・家族に内緒で認知した子
 ・未認知の子
  生前に認知できなかった事情があっても、遺言によって認知することができます。
 ・遺言者の看病をしてくれた長男の嫁
 ・お世話になったヘルパーや近所の人
⑧再婚している場合
⑨病気で独身の子供がいる場合
 複数の子供の中に病気や障害者の子供がいる場合は、相続分を他の子供より増やすことによって、その子の将来の生活を支えることになります。
⑩先妻の子と後妻の子がいる場合
 どちらの子も、同等の相続権を持ちます。ただし、後妻の死亡時には、先妻の子には相続権がありません。先妻の子供のことを考えて、遺言で相続分を決めておくことができます。
⑪素行の悪い相続人の相続分を少なくしたい場合
⑫市区町村役場や世話になった福祉施設、宗教団体などに財産を寄付したい場合
⑬相続人に行方不明者がいる場合

遺言書を残すメリット
①遺族が、相続でもめることが少なくなる
②被相続人の考えたように遺産を分割できる
 ただし、遺留分があるので、すべてが自分の希望どおりになるとは限りません。
③分割方法について相続人が悩むことがなくなる
④遺産分割協議を経ずに相続手続きができる
 ただし、相続人全員の意思により遺産分割協議を行うこともできます。
⑤相続の手続きがスムーズになる
 金融機関などの手続きが楽になります。
⑥血縁者以外にも財産を譲ることができる
⑦家族に自分の遺志を伝えることが出来る

■公正証書遺言
 公正証書遺言とは、遺言の中でも遺言書が公証人に対して遺言の内容を伝え、その内容を公証人が文章にまとめて作成する遺言のことです。 
証人が2人必要です。公証役場で紹介してもらうこともできます。
 確実かつ安全に相続手続きを進めたい場合は、公正証書遺言をしたほうがいいです。検認の手続きを省略でき、相続開始とともに相続手続きを行うことができます。 

●公正証書遺言の作成手順
 ①遺言者が遺言内容を考えて原案を作成する
 ②公証役場での公正証書作成の日時を予約する
 ③公証人から求められた必要書類を揃える
 ④予約当日、必要書類を公証役場へ持参し、遺言の内容について公証人へ伝える
 ⑤公正証書遺言を作成するときに立ち会ってもらう証人2人を決める
  以下の人は承認になれません。
  ・未成年者(20歳未満の未婚の者)
   十分な意思能力がないものとして、証人になれません。
  ・推定相続人及び受遺者ならびにこれらの配偶者及び直系血族
   推定相続人は、遺言書作成時における立場であり、遺言書の作成後に、結果的に推定相続人になったとしても問題はないとされます。
  ・公証人の配偶者、四親等内の親族、公証役場の書記及び使用人
  ※証人を立てることができない場合、公証役場に依頼すれば証人を立ててくれます。その場合費用がかかりますので、裁判所にご確認ください。

 ⑥遺言作成日当日、証人2人とともに公証役場へ出向く
  遺言者本人が病気などで外出することが難しい時は、公証人が本人の自宅や病院等へ出張して作成することもできますが、割増料、出張旅費が発生します。
 ⑦公正証書遺言の内容を確認し、間違いがなければ遺言者、証人2名が署名・押印する
 ⑧公証人が、方式に従って作成された旨を付記して署名・押印する
 ⑨公正証書遺言の正本が遺言者に渡され、公証人の手数料を現金で支払う

●公正証書作成に必要な書類
 ①遺言者の実印と印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
  印鑑証明書にかえて運転免許証、住民基本台帳カード(顔写真付き)でも可
 ②戸籍謄本各1通
  遺言者と相続人との続柄を証明(相続人であることが証明できるまで、すべての戸籍謄本が必要)
  相続人以外の人に遺贈する場合は住民票
 ③遺贈される人の住民票
  住所、氏名、生年月日、職業を確認する
 ④不動産を相続・遺贈させるときは土地・建物の登記事項証明書と評価証明書
 ⑤固定資産評価証明書又は固定資産税・都市計画税の納税通知書
 ⑥証人の住民票と認印
  自動車運転免許証、保険証のコピーでも可
 ⑦貯金、動産、有価証券等
  通帳のコピー(金融機関名・支店名の分かるもの)
  有価証券等のコピー
  生命保険書のコピー(遺言書で生命保険の受取人を変更することができます)
 ⑧骨董品や美術品などを相続・遺贈させる場合は、その財産を特定できる資料
 ⑨遺言執行者を指定する場合はその人の住所、氏名、生年月日、職業を確認しておく
 ⑩その他公証人から求められた資料

●証人になれない者
 ①未成年者(但し、婚姻による成年擬制があったものを除く)
 ②成年被後見人及び被保佐人
 ③推定相続人、その配偶者、その直系血族
 
④受遺者、その配偶者、その直系血族
 ⑤公証人の配偶者、公証人の四親等以内の親族、書記及び使用人
 ⑥遺言書の内容を読めない、確認できない人

●公正証書遺言のメリット
 ・遺言書の真正性が問題となることがない
 ・不備で遺言が無効になる恐れがない
 ・原本が公証役場に保管されるので、変造・偽造や隠蔽・盗難・紛失・破棄の恐れがない
 ・遺言の実行がスムーズに進められるような文面を考えてもらえる
 ・家庭裁判所での検認の手続を経る必要がないので、相続開始後、速やかに遺言の内容を実行に移すことができる
 ・遺言者が署名できないような状態にある場合、公証人がその旨を付記することによって署名に代えることが可能
 ・口述できない人や耳の聞こえない人も遺言ができる
  口述できない人や、耳の聞こえない人は、手話通訳人が公証人に遺言の内容を伝えたり、公証人との筆談により公正証書遺言をすることができる
 ・病気で家を出られなくても、公証人が家まで出張してくれる

●公正証書のデメリット
 ・作成に手間と時間がかかる
 ・遺言書作成手数料がかかる
 ・証人が2人必要

●原本、正本、謄本
 原本とは、一定の内容を表現する目的で、確定的なものとして作成された文書のことです。原本は、公証役場で保管されます。
正本とは、原本の作成権限があるものによって原本に基づき作成され、原本と同一の効力を有する書面のことであり、謄本の一種です。
正本は、遺言執行に必要となるため、遺言執行者に預けます。登記の申請などに使用します。
謄本とは権限のある公務員が原本と相違ないことを認証した書面で、原本の内容を全部写して作ったものをいいます。
公正証書遺言の検索の依頼・謄本請求は、遺言者が死亡した場合のみ、相続人、受遺者及び遺言執行者などの利害関係者が請求できます。遺言者の存命中は、検索や謄本請求ができるのは本人だけです。たとえ相続人であっても請求できません。
公正証書の正本謄本を紛失・滅失しても、公証役場に原本が保存されている限り、改めて謄本を発行することができます。

公正証書謄本の請求の必要書類
 契約当事者が個人で、本人が請求する場合
 ①当事者本人の身分証明書と印鑑

 相続人等利害関係人が請求する場合
 ①遺言者が死亡したことが分かる資料:除籍謄本・死亡診断書等
 ②相続人等の戸籍謄本等(請求者が法律上の利害関係人であることを証明する)
 ③請求人の身分を証明するもの
  ・運転免許証・パスポートなど公的機関が発行した写真入り証明書と認印
  ・印鑑証明書1通(発行から3ヶ月以内のもの)及び実印

 相続人の代理人が請求する場合
 ①請求人の実印を押捺した委任状
 ②請求人の印鑑証明書1通(発行から3ヶ月以内のもの)
 ③遺言者の除籍謄本(遺言者の死亡確認のため)
 ④相続人の戸籍謄本(請求人が相続人であることが分かるもの)
 ⑤代理人の身分を証明するものと認印

遺言公正証書の検索システム
 平成元年以降に作成されたものであれば、全国どの公正役場でも検索・照会を依頼できます。
 遺言者が生存している場合は、検索の依頼・謄本請求ができるのは、遺言者本人にしかできません。
 遺言者が死亡している場合は、相続人、受遺者及び遺言執行者などの利害関係者が請求できます。

 検索のための必要書類
 ①遺言者本人が死亡したことを証明する書類(除籍謄本・死亡診断書等)
 ②利害関係人であることの証明書類(戸籍謄本等)
 ③請求人の本人確認書類(運転免許証など)

 代理人が請求する場合には、上記に加えて、
 ①相続人の印鑑証明書
 ②相続人から代理人宛の委任状(実印を押印したもの)
 ③代理人の本人確認書類

 費用
  遺言書の検索自体は、費用はかかりません。

●公正証書遺言の保存期間
 公正証書の原本は公証役場に保存されます。
公正証書の原本の保管期間は、原則として20年間と規定されています(公証人法施行規則27条1項1号)が、保存期間の満了した後でも特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある期間保存しなければならない(公証人法施行規則27条3項)とされています。
遺言は、遺言者の死亡時に効力を生じますから、公正証書遺言は遺言者の死亡時まで保管しておく必要がある文書と言えます。
実務上は、保管期間を定めずに半永久的に保管することが一般的な取り扱いになっているようです。

●公正証書遺言の作成費用
 公証人の手数料は遺言書に書かれた財産の価額に応じて決定されます。

 目的財産の価額  手数料の額
 100万円まで  5,000円
 100万円を超え200万円まで  7,000円
 200万円を超え500万円まで  11,000円
 500万円を超え1,000万円まで  17,000円
 1,000万円を超え3,000万円まで  23,000円
 3,000万円を超え5,000万円まで  29,000円
 5,000万円を超え1億円まで  43,000円
 3億円まで  5,000万円ごとに1万3,000円加算
 10億円まで  5,000万円ごとに1万1,000円加算
 10億円超  5,000万円ごとに8,000円加算

相続人が複数いる場合は、相続人・受遺者ごとに手数料を計算し合算します。

財産の総額が1億円未満の場合は、遺言手数料として11,000円が加算されます(ただし、人数には関係ありません)。

役場外執務の場合、公証人の日当は、1日20,000円(4時間以内は10,000円)、交通費は実費です。

正本または謄本の交付は、250円/1枚です。


■自筆証書遺言 
 ●自筆証書遺言のメリット
  ・費用がかからない
   公正証書遺言のように、公証人や証人に費用やお礼を支払う必要がありません。
  ・いつでもどこでも自由に作れる
  ・誰にも知られずに作成できる
 ●自筆証書遺言のデメリット
  ・遺言書が発見されなかったり、偽造・隠匿されやすいという一面がある
  ・検認が必要になるため、遺言の内容を実行するのに時間がかかる
  ・様式の不備などにより、遺言が無効になることがある

 ●自筆証書遺言の要件
 1.遺言書はすべて自筆で書く
  代筆、ワープロ、パソコンで作成した遺言は、遺産を残す人の意思を反映したものであったとしても無効です。一部でも、他人の代筆やパソコンの部分があれば無効になります。遺言書の偽造を防ぐためです。

自筆かどうかの争いになった場合には、筆跡鑑定が必要になります。

 2.日付(年月日)を書く
  遺言書は何度でも書き直せますので、遺言書が数通見つかることもあります。そんな時に遺言書の優劣を決めるのは遺言書に書かれてある日付です。遺言書は先に書いたものよりも後に書いたものが優先されます。
遺言者が満15歳に達しているか、遺言ができる意思能力があったかどうかを判断する意味もあります。
「吉日」と書くと無効になります。

 3.氏名を書く
  遺言作成者1名だけが署名します。夫婦が一緒に署名をしてしまうと、「共同遺言」と言って遺言が無効になってしまいます。

 4.押印をする

  認印でも有効ですが、実印が望ましいでしょう。

 5.財産の記載は正確性に配慮する

 6.封印
  封印されていなくても無効にはなりませんが、改ざん防止には封印しておくのが望ましいでしょう。

自筆証書遺言の保管制度 

 自筆証書の遺言書は、自宅や銀行の貸金庫などに保管されていることが多いです。

自宅での保管の場合、紛失や改ざんの懸念があり、トラブルの防止や相続を円滑にする主旨で令和2年7月より始まりました。

自筆証書遺言書の保管制度では、法務局が遺言書を保管しますので、偽造・変造のリスクがなく、検認手続きは不要です。

●保管申請の流れ
①自筆証書遺言書を作成する(法務省
 ・用紙はA4サイズ
 ・各ページにページ番号を付すこと
②保管の申請をする遺言書保管所(法務局)を決める
 保管の申請ができる遺言書保管所
 ・遺言者の住所地
 ・遺言者の本籍地
 ・遺言者が所有する不動産の所在地
③住民票(本籍地の記載があるもの)を取得する
④申請書を作成する
 申請書の書式は、法務省のホームページからダウンロードできます。法務局の窓口にも備え付けられています。
⑤予約する
 ・ネット予約
  数日後の法務局から「遺言書保管手続予約」のメールが届く。
 ・電話予約
 ・窓口予約
⑥保管の申請をする
 次のものを持参して、遺言者本人が出向きます。
 必要書類
 ・遺言書
 ・遺言書の保管申請書(3,900円の収入印紙を貼付)
 ・遺言者の住民票(本籍地入り)
 ・本人確認書類(運転免許証など)

⑦保管証の受け取り

●関係遺言書保管通知
 遺言者の死後、相続人、受遺者、遺言執行者が法務局で「遺言書情報証明書」の交付を受けたり、遺言書の閲覧を申請したりすると、法務局から申請人以外のすべての相続人等に対して遺言書が保管されている旨の通知がされます。

ただし、相続人等のいずれかの方が、遺言書情報証明書の交付請求や遺言書の閲覧をしなければ、この通知は実行されません。この点を補うものとして、下記の「死亡時の通知」があります。

死亡時の通知
 「死亡時の通知」は、遺言者本人が死亡したとき、事前に本人が指定しておいた人(1名のみ)に対して、法務局で遺言書が保管されている旨の通知が送られる制度です。

指定できるのは、遺言者の相続人、受遺者、遺言執行者等のうち1名だけです。

その方に遺言書が保管されている事実が伝われば、その他の相続人等にも確実に伝わると思われるような立場の方や、遺言書が保管されている事実を確実に伝えたい方等を選ぶことになります。

遺言書の保管の申請時に、死亡時通知の申し出をすることができます。

市町村が遺言者の死亡届を受けると法務局に死亡情報が提供される仕組みになっています。

死亡時の通知制度は、公正証書遺言にはない自筆証書遺言保管制度だけの長所です。

通知の内容は、以下の通りです。
・遺言者の氏名
・遺言者の生年月日
・遺言書が保管されている法務局
・保管番号

秘密証書遺言
 秘密証書遺言とは、遺言の内容を秘密にしておくことを目的として作成する遺言方式です。

遺言者が遺言証書を作成して、それに署名・押印した上でそれを封書に封じ、この封書を遺言証書に押印したのと同じ印鑑で封印し、この封書を公証人と2人以上の証人に提出して自分の遺言書であることと氏名及び住所を申述し、公証人が、その封書に日付と遺言者の申述を記載した上で、遺言者、公証人、証人がそれぞれ署名押印するという遺言作成の方式です。

相続開始後、検認手続き前に秘密証書遺言書を開封した場合には、秘密証書遺言は無効になります。

秘密証書遺言は、遺言者自身が自分の姓名さえ書くことができればよく、自筆証書遺言のように全文を手書きで作成することまでは要求されていません。

●秘密証書遺言のメリット・デメリット
 【メリット】
 ・自分で遺言書を作成した場合は秘密が完全に保たれる
 ・パソコンやワープロによる作成や、代筆であっても可能(署名と押印は自分で行わなくてはなりません)
 ・誰にも知られることなく作成しますので、遺言書の偽造・改ざんを防げる
 ・公証役場に秘密証書遺言を作成したという事実が記録されますので、「本当に故人が作成した遺言なのか?」などと揉めることがない
 ・証人と公証役場とが関わることで遺言書の存在を明確にできる

 【デメリット】
 ・公証人が内容を確認することができないため、遺言書の内容に法律的な不備があって無効になったり、相続人間の紛争の種になったりするリスクがある
 ・公証人手数料(11,000円)がかかる
 ・証人2人の立会いが必要になる
 ・公証役場へ出向かなければならない
 ・自分で保管するために紛失・未発見の恐れがある(秘密証書を保管するのは、遺言者自身)
 ・相続開始時に家庭裁判所の検認が必要

■法定遺言事項
 法定遺言事項とは、法律上、遺言の内容として法的効力が認められている事項をいいます。
遺言事項には、財産に関する事項・身分関係に関する事項・遺言執行に関する事項があります。
法定遺言事項以外の遺言事項は付言事項(下記)と呼ばれます。

●財産に関する遺言事項
①相続分の指定・指定の委託(民法902条)
 相続分の指定とは、相続人に対して、法定相続分とは異なる割合で遺産配分を決めることです。
 例えば、妻には家屋を、長男には別の土地を相続してもらいたい、といったように、特定の相続人に特定の資産を相続させたい場合には、遺産分割方法の指定をしておくことが望ましいです。
 遺産分割方法の指定は消極財産にも適用できます。
②遺産分割に一定期間の禁止
③特別受益の持ち戻しの免除(民法903条3項)
 生前に受けた特別受益を遺言でその贈与分を差し引かないように言い残すことができます。
④遺贈(民法964条)
⑤信託の設定(信託法3条2項)
⑥生命保険の保険金受取人の変更
⑦相続人相互間の担保責任の指定(民法914条)
⑧遺留分減殺方法の指定(民法1034条ただし書)
 減殺すべき金額を遺贈ごとに指定したり、各遺贈に対する減殺の順番を指定することができます。
⑨一般財団法人の設立・財産の拠出(一般法人法152条2項等)
 財団法人に対する寄付行為は生前でもできますが、遺言でもすることができます。

●相続に関する遺言事項
①祭祀主催者の指定(民法897条1項ただし書)
 祭祀の承継者とは、お墓の管理や法要の主催者のことです。
②認知症の配偶者の面倒や遺されたペットの面倒を見てもらう
③推定相続人の廃除・廃除の取り消し(民法893・894条)
 日頃から遺言者に暴力を振るったり、人前で悪態をつくなどの重大な非行をする相続人がいる場合には、「相続人廃除」の遺言をすることができます。生前に手続きをすることもできます。
 廃除の対象となるのは、遺留分を有する推定相続人に限られます。
④相続欠格の宥恕
⑤婚外子の認知
 婚外子の認知は生前に行うこともできます。
 認知されたこの相続分は嫡出子と同じです。
 認知された時に、既に遺産分割が終わっている場合には、遺産分割のやり直しを求めることはできず、価額のみによる支払いの請求をすることになります。
 価額請求権は5年で消滅時効にかかります。
⑥未成年の子供の後見人・後見監督人の指定(民法839条)
 未成年の子供の世話をする人がいなくなる事態に備えて、子供の財産管理や身上監護をする後見人や後見
監督人を遺言で指定することができます。
 未成年後見人に就任した人、未成年後見人に就任した人は、10日以内に役所に届出が必要です。
 未成年後見監督人は、未成年後見人を監督する役目があります。
 未成年後見監督人を選任するかどうかは任意ですあり、人数制限もありませんが、既に後見人になっている者の配偶者、兄弟姉妹等を後見監督人に選任することはできません。
 後見が終了するのは未成年者が成年になったときです。
⑦遺言の取り消し
⑧遺言執行者の指定及び第三者への指定の委託(民法1006条)
 相続人の廃除や婚外子の認知をする場合には、必ず遺言執行者が必要になります。
⑨遺言執行者の職務内容の指定
 遺言執行者は、相続人の代理人として、相続開始後に、名義変更をはじめ遺言の内容を実現する責務を負う人のことです。
⑩一般社団法人を設立する意志の表示

●付言事項(ふげんじこう)
 死後、相続財産のことで家族が争わないために、遺言をすることが遺言の目指すところです。

付言事項は、法的効力を伴いませんが、遺言に関する被相続人の思いを伝えることで、被相続人の意思が尊重されやすくなります。

付言で、財産を特定の者に相続させることにした理由、遺品の処理の仕方、葬式や法要の方法、献体や納骨の希望、家族の融和や家業の発展を祈念する旨を記載します。

付言事項は、相続に伴うトラブルや衝突の回避を促したり、遺族に強い感動をもたらし、親族の結束をさらに強める力があります。

付言事項には、家族の名前を記して、感謝の気持ちを表します。具体的なエピソードが書かれていると、より温もりが伝わります。

付言事項作成のご相談は、こちら

■エンディングノート
 エンディングノートとは、将来の自分に万が一のことがあった場合に備えて、自分の伝えたいことを書き留めておくノートです。

エンディングノートは遺言書とは異なり、法律上の文書ではないので法的効力はありません。

介護や医療、葬儀やお墓、相続のことなど、自身のエンディングに際して必要なことをノートに書いておけば、周囲の人が判断に迷うことが少なくなります。

エンディングノートは書店でも販売されています。

エンディングノートにはカテゴリーに分けて必要なことを記入しておくことをお勧めします。

●エンディングノートの活用方法
 ①自分に万が一のことがあった場合に備えて、遺族に指示を残す。
 ②公正証書を前提として、その補足的な説明資料として活用する。

●記載項目の例(書けるところから書いてゆきます)
氏名、生年月日、本籍
②住所、過去の住所
③マイナンバー、血液型
 電話番号、携帯電話番号、メールアドレス
④家族の状況
 家系図、住所、電話番号など連絡先
⑤両親の氏名、命日、年齢、戒名
⑥友人、親族、知人に関すること
 自分との関係、連絡先
 葬儀告知の要否
⑦免許や健康保険証などの証書類
 保管場所
⑧財産や遺品に関すること
 貴重品の番号(保険証、運転免許証、パスポート、住民票コード、クレジットカード)
 預貯金の口座、通帳と印鑑の所在
 口座自動引落一覧
 有価証券
 生命保険
 損害保険
 財産管理をお願いしたい人
⑨その他の資産
 不動産
 株式
 書画骨董、宝石、貴金属、貸付金等
 貸金庫、レンタル倉庫等の利用状況
 その他収入の状況
⑩インターネットサービス
 自動更新される有償サービスの名称、IDとパスワード
 ネットバンキングのID
 重要ファイルの所在
 SNSなどネット上の各種アカウント
⑪借金
 借入金の有無と保証人について
⑫公的手続きと取引先への連絡
 健康保険、年金、廃業届など
 連絡すべき取引先、関係者
⑬経理
 法人口座情報
 法人の保有資産
 売掛金、買掛金
 税理士の連絡先
⑭相続のこと
 遺言の有無
⑮後見人契約の有無
⑯経歴
 出生地
 小学校、中学校、高校、大学
 勤務経歴(思い出す範囲で)
 結婚
 出産歴
 資格
⑰ペットに関すること
⑱介護や医療に関すること
 希望する介護の内容
 介護をしてくれる人に伝えておきたいこと
 持病、アレルギー、常備薬
 かかりつけの医師
 告知、延命治療、臓器移植についての希望
⑲思い出
 自分の性格
 趣味
 好きな色、場所、もの
 配偶者との出会い、結婚日、結婚式場
 両親や祖父母等、幼少時代、学生時代、家族
⑳葬儀やお墓に関すること
 宗派
 葬儀の形式
 希望する葬儀社の有無
 遺影として希望する写真
 葬儀に呼んで欲しい友人、知人
家族への希望とメッセージ
メッセージ
 親族、友人など

相続手続き代行1−2

■遺言の執行
 遺言の執行とは、遺言者が死亡し、遺言の効力が生じた後に遺言の内容をその通りに実現することです。
遺言執行者は、遺産の預貯金債権の名義の変更、払い戻しの時などに重要な役割をします。
遺言に遺言執行者の記載がある場合は相続人に代わり遺言執行者が相続の手続き及び遺言の実現に向けた行為をしてゆきます。
遺言執行者が選任されている場合は、相続人は勝手に処分や、遺言の執行を妨害するようなことはできません。
遺言者は遺言により、遺言執行者の職務を特定の事項のみに限定することができます。
遺言執行者は、遺言で指定されている場合と必要に応じて家庭裁判所から選任される場合とがあります。
遺言執行者には、未成年者や破産者を除いて誰でもなることができます。

●遺言執行者を指定する方法
 指定方法は以下の3種類です
 ①遺言により指定する
 ②遺言により遺言執行者の指定を第三者に委託し、その委託を受けた人が遺言執行者を指定する
 ③家庭裁判所に申立をし、遺言執行者を決めてもらう

 【遺言書で遺言執行者が指定されていないとき】
●遺言執行者選任の申立をするケース
 ①遺言によって遺言を執行する人が指定されていない場合
 ②指定されたものが就職を拒絶した場合
 ③指定された遺言執行者が既になくなっている場合
 ④指定された遺言執行者が未成年者や破産者である場合

●遺言執行者の選任手続き
【申立人】
 利害関係人(相続人、受遺者、遺言者の債権者など)

【申立先】
 遺言者の最後の住所地の家庭裁判所

【遺言執行者選任申立書】
 裁判所サイトの記入例

【必要書類】
 ・遺言執行者選任申立書
 ・遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本
 ・遺言執行者候補者の住民票、身分証明書
 ・遺言書の写し、または、遺言書の検認調書謄本の写し
 ・申立人の利害関係を証する資料(親族の場合は戸籍謄本等)

【費用】
 ・遺言書1通につき収入印紙800円
 ・連絡用の郵便切手

●遺言執行者の解任
 【遺言執行者解任の理由】
 ①遺言執行者が任務を怠ったとき
 ・遺言執行者が任務を全く行わない、あるいは一部しか行わない場合
 ・相続財産の保管、管理につき善管注意義務を怠り、相続財産を不完全に管理した場合
 ・正当な理由なく財産目録の交付を怠った場合
 ・相続人から請求があったのに、事務処理状況の報告を怠った場合
 ②その他の正当な事由(長期にわたる病気、業務の急激な多忙、遠隔地移転、対立関係の一方のみの加担など)

利害関係人が家庭裁判所に対し遺言執行者の解任を請求し、家庭裁判所において解任の審判を行った場合に遺言執行者は解任されます。
家庭裁判所は遺言執行者解任の申し立てがあった場合、必要があると認める場合には、遺言執行者の職務の執行を停止し、または職務を代行する者を選任することができます。

●遺言執行者解任審判の申立
【申立先・申立人】
 申立先は、相続を開始地を管轄する家庭裁判所です。申立をすることができる者は、相続人、相続債権者、受遺者などの利害関係人です。

【申立費用】
 ・収入印紙800円
 ・予納郵便切手

【申立に必要な書類】
 ・遺言執行者解任審判申立書
 ・審判前の保全処分申立書
 ・申立人・遺言執行者・遺言者の各戸籍謄本
 ・遺言書の写し、または遺言執行者選任審判書

解任審判の申立を受けた家庭裁判所は、解任の事由の有無を判断しますが、遺言執行者を解任する場合には、当該遺言執行者本人の陳述を聴いた上で解任の可否を判断します。
解任の審判に対しては、遺言執行者は即時抗告をすることができ、解任の申立を却下する審判に対して利害関係人は即時抗告できます。遺言執行者の職務執行停止及び職務代行者選任の審判については即時抗告をすることはできません。
解任の審判がなされた場合、遺言執行者は相続人等に対し、解任により任務が終了した旨を通知しなければ相続人等に対して解任による執行事務の終了を対抗できませんので、その通知は必ず行う必要があります。

●遺言執行者の辞任許可申立て
 遺言執行者は、正当な理由があるときは、家庭裁判所の許可を受けて辞任することができます。
 【正当な理由】
 ・長期の病気
 ・長期の出張
 
・遠隔地への引越し
 ・相続人間での調整に失敗して、公正な遺言執行が期待できない

 ①申立人
  遺言執行者
 ②申立先
  相続開始地の家庭裁判所
 ③作成書類
  遺言執行者辞任許可審判申立書
 ④添付書類
 ・申立人および遺言者の戸籍謄本
 ・遺言書の写し
 ⑤申立費用
  収入印紙800円
  予納郵便切手
 ⑥辞任の通知
  家庭裁判所による辞任の許可の審判がされただけでは不十分です。相続人及び受遺者に対し、辞任の通知をしないと、相続人や受遺者の対して遺言執行事務が終了したことを対抗できません。

●法定相続情報証明制度(仮称)
 2017年5月から相続手続きの簡略化を目的として、法定相続情報証明制度が開始される予定です。
被相続人の戸籍謄本等の書類を法務局に提出しておけば、その後は法務局が証明書を発行する制度のことです。
相続人は被相続人の預貯金、不動産などを管理する銀行や法務局の窓口に対し、この証明書を出せば良いことになります。
遺言執行者の専任を申し立てる際にも、証明書を活用できることが考えられます。

【手続きの流れ】
 ①市区町村の窓口で必要書類を取得
 ②法務局に必要書類を提出
 
③証明書が発行

●遺言執行者の権限及び業務内容
 ①相続財産の引渡し及び管理、相続財産の関係書類の引渡し及び管理
 ②財産目録の作成、預貯金の解約・払戻しや不動産の名義変更
 ③遺言による生命保険金受取人の指定、変更
 ④貸金庫の開扉
 ⑤遺産を売却して金銭で交付する場合は、遺産の売却
 ⑥子の認知(就任してから10日以内に役所へ届け出る)
 ⑦遺言執行の妨害をしている者が居る場合はその者の排除や排除の取り消し
 ⑧遺言による未成年後見人の指定及び未成年後見監督人の指定
 ⑨遺言執行に必要な訴訟行為
 ⑩すべての手続きが終了後、相続人や受遺者全員に業務終了の通知

●遺言執行者の義務
 ①遺言執行者に就任したことを知らせる就任通知書を作成する
 ②善管注意義務
  遺言執行者は通常の相続人よりも相続財産の扱いについてはより大きな責任を負います。
 ③財産目録の作成して相続人に交付する
  相続人の請求があるときは、その立会いをもって相続財産の目録を作成し、または公証人にこれを作成させなければなりません。
 ④直ちに任務を行う義務
 ⑤相続人を漏らさず調べるために、戸籍等の収集
 ⑥相続財産管理・執行
 ⑦相続人から請求された時にいつでも事務処理の状況を報告する義務
  全ての作業が終わった場合にも相続人への報告が必要です
 ⑧受取物等の引渡し義務
  事務を処理した際に受け取った金銭その他の物や収受した果実を相続人に引き渡す義務及び遺言執行者の名をもって取得した権利を相続人に移転する義務
 ⑨補償義務

●執行行為が必要な遺言事項
 【遺言執行者だけが執行できる遺言事項】
 
①推定相続人の廃除又は廃除の取消(民法892条〜894条)
 ②認知

 【遺言執行者以外でも執行できる遺言事項】
 ①遺贈
 ②法定相続分を超える相続分の指定及び特定の相続人に相続させる旨の遺言
 ③一般財団法人の設立
 ④信託の設定
 ⑤祭祀承継者の指定
 ⑥生命保険金の受取人の指定、変更

 【執行行為は不要とされる遺言事項】
 ① 

●遺言執行者指定のメリット
 ①遺言の内容を確実に実現できる
 ②不動産を法定相続人以外に遺贈する場合
 ③預貯金の解約・名義変更等は、遺言書があっても、遺言執行者が指定されていないと金融機関は相続人全員の署名と実印の押印、印鑑証明書の提出を求めることが多いです。
金融機関が預金の支払いに慎重になる理由の一つとして、複数の遺言書がある可能性を警戒するためと言われています。
 ④相続人が複副数人いると、書類の収集や署名押印手続き等が煩雑になりがちですが、遺言執行者を指定
していれば、執行者が相続人代表として手続きを進められるので、大幅に時間の短縮ができます。

 ⑤相続人によって第三者に不当に処分が行われた場合、遺言執行者が選任されている場合には、相続人によって勝手に行われた譲渡は無効となります。

■尊厳死宣言書(リビングウィル)
 病気や事故で意識が回復せずに、延命措置を施さなければ生命が維持できなくなった場合、延命措置を選ぶかどうかの意思を心身ともに元気なうちに、書きとめておく方法です。
本人が寝たきりの植物状態になったとき、延命措置を施すかどうか、看守る家族は悩み苦しみます。
どちらを選んでも、選んだ家族はそれで良かったのかどうかを、思い返しては重い気持ちになります。
高齢社会白書(H26)では、65歳以上の91.1%の人が延命措置はせずに、自然なままに最期を迎えたいと考えている、と報告されています。
もしも、意識が戻らない状態になったときに、延命措置の選択のために家族を苦しめないためには、元気なときに「尊厳死宣言書」を作成しておくことは非常に意味のあることだと思います。

●尊厳死とは
 事故や病気などで脳死状態や植物状態となり、回復する見込みがない末期状態になったとき、死期を引き伸ばすだけに過ぎない生命維持治療をしないで、自然の摂理としての死を、人としての尊厳を保ちながら迎えることをいいます。
尊厳死の良し悪しを考えるのではなく、尊厳死がどういうものかを知って、その上で自分がどう望むかを決めることなのだと思います。

●尊厳死宣言書の作成方法
 日本では、今のところ尊厳死に関する法律がないため、この文書があっても、そのとおりに実現される保証はありませんが、日本尊厳死協会のアンケート結果によれば、「尊厳死宣言書」を示した場合における医師の尊厳死許容率は、平成15年には95.9%に達しているそうです。
尊厳死宣言書の作成は公正証書でする方法と日本尊厳死協会へ加入する方法があります。

①「尊厳死宣言公正証書」は、尊厳死を希望する旨の文書を公正証書で作成するものです。
 公証人に文案を作成してもらう方法と、自分で作成した宣言書を公証役場に持参して、証書の署名・押印について公証人の認証を受ける方法があります。
尊厳死宣言公正証書は公正証書の中でも「事実実験公正証書」という部類に入ります。これは、本人が宣言した不要な延命治療の拒否の意思を事実として公文書で残すという方法です。
②「日本尊厳死協会」は、リビングウィル(尊厳死の宣誓書)を普及する団体です。

●尊厳死宣言公正証書の記載事項
①延命措置拒絶の意思表明
 延命治療を拒否して苦痛を和らげる最小限の治療以外の措置を控えてもらい、安らかな最期を迎えるようにして欲しいという希望を明示します。 
②尊厳死を望む理由
 理由を記載することで、家族や医療関係者への説得力が増します。
③家族の同意
尊厳死宣言書が作成されても、その家族が延命措置を希望した場合には、医師がそれを無視して延命措置の停止を講じることは難しくなります。家族の同意があることを記載しておくことが大切です。
④家族や担当医の免責を求める
 尊厳死宣言の内容の通りに実行された場合に、関係者が法的責任を問われないように、警察、検察等へ配慮を求める意思表示をする。
医療関係者に対しては、刑事責任のみならず、民事責任をも免責する記載をすることが大切です。
⑤尊厳死宣言の有効性について
 尊厳死宣言は、自分の精神が健全な状態の時になされたものであること。また、自分が尊厳死宣言を破棄、取り消さない限りは効力を有する旨を明らかにしておきます。

●延命措置
 延命措置としてつかわれるのは次のものがあります。
①人工呼吸
 人工呼吸器を使って心肺機能を維持します。
②栄養補給
 ・経腸栄養法
  胃や腸に直接、流動食や液状になった栄養食を入れる方法です。
  胃瘻栄養法、経鼻経管栄養法、間欠的口腔食道経管栄養法があります。
 ・非経腸栄養法
  胃や腸を通さず、静脈内に栄養成分を投与します。
  中心静脈栄養法、抹消静脈栄養法、持続皮下注射があります。
③ペースメーカーを使う
 心臓のリズム不整で心不全を起こす場合に植え込まれます。
④人工透析
⑤酸素投与
⑥薬剤投与

●安楽死との違い
 「安楽死」とは、様々な苦痛から解放されるためにまだある生命を積極的に絶つ行為です。尊厳死とは根本的に異なるものです。
人為的な行為によって死を選ぶことが安楽死であり、自然に任せた死を受け入れるのが尊厳死です。
安楽死には、「積極的安楽死」と「消極的安楽死」があります。
「積極的安楽死」は、命を終了させるために薬物を投与するなどをして、死を迎えられるように導くことをいいます。
「消極的安楽死」は、最期を迎えるために治療や薬の投与を一切行わないことをいいます。
「積極的安楽死」は倫理的だけではなく、法律上の問題にもなりえます。

遺産分割の方法
相続財産を分けるには、次の4つの方法があります。
①現物分割
 Aの土地は長男に、Bの土地は長女に、その他の財産は次男にと遺産そのものを現物で分ける方法です。
②換価分割
 相続財産を売り払って金銭に換えて、それを相続人の間で分配する方法です。
 各相続人の法定相続分どおりに遺産を分割したい場合、現物分割をすると価値が下がる場合などにはこの方法をとります。
③代償分割
 特定の財産(現物)を相続する代わりに、他の相続人に金銭を引き渡す方法です。
 代償金がない場合には現実化できません。
④共有
 相続財産を共有のままにしておくという方法です。後にトラブルの元になったりします。

■遺言書と遺留分 
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に最低限保障された遺産取得割合です。この権利は、遺言の内容にかかわらず侵すことはできません。
被相続人が生前贈与や遺言で特定の相続人や第三者へ財産が引き継がれることを防ぐ役割もあります。
遺言者の遺志はできるだけ実現させてあげたいが、遺された家族にも財産を受け取る権利があるとの考え
方です。

あくまでも「遺留分を請求する権利」なので自ら主張しなければ実現されません

遺留分侵害額請求権
 相続人に保証された財産を請求することです。
遺留分には請求方法、請求できる期限、保証される遺留分の額、請求することができる者などが民法に記載されています。
なお、遺産分割協議において遺産分未満の価額の財産しか取得しないことに同意した場合は、遺留分が侵害されたことにはなりません。
遺留分侵害額請求権はあくまでも侵害額に相当する「金銭的な補償」を侵害者に求める権利に過ぎません。請求者は不動産の共有持分を請求することや不動産の処分禁止の仮処分を行うことはできません。
ただし、金銭で精算することが困難な場合、双方の合意があれば試算の移転により精算することも可能です。しかし、この場合は代物弁済によるものとして譲渡所得税が課税されることとなったため、注意が必要です。
遺留分侵害額請求を受けた人が、金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。
遺留分侵害額請求権は行使しなくてもかまいません。遺留分を侵害されているからといって相続人は必ず遺留分侵害額請求をしなければならないわけではありません。行使するかしないかは、相続人の自由な判断に任されています。

遺留分
 ・直系尊属のみが相続人の場合は1/3
 ・それ以外の場合は1/2
 ・兄弟姉妹には遺留分がない

遺留分侵害となる行為
①遺贈
 相続人の遺留分を侵害する程度の遺贈が行われていた場合には、遺留分侵害額請求の対象になります。

●遺留分の割合
 直系尊属のみが相続人法定相続分の3分の1で、それ以外の場合は2分の1です。
他の相続人が相続分や遺留分を放棄しても、遺留分が増えることはありません。

請求範囲
 遺留分侵害額請求権の対象となる生前贈与は、相続開始前10年間に行われたものに限定されます。

遺留分が未確定の場合の相続税の申告
 相続税の申告時に遺留分侵害請求の基づく金銭の額が確定していない場合には、遺留分侵害額請求がなかったものとして、各人の相続税の課税価格及び相続税額を計算し申告することになります。

●遺留分の時効と除斥期間
 時効:相続開始及び遺留分侵害の遺言・贈与があったことを知った日から1年以内
 除斥期間:相続開始から10年間

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