持戻免除の意思表示
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持戻免除の意思表示
共同相続人の中に特別受益者がいる場合で、他の相続人から特別受益の持ち戻しの請求があった場合、特別受益の持ち戻しを行いますが、被相続人が遺言などで、「特別受益の持ち戻しをしない」という意思表示をしていれば、その遺志に従います(民法903条3項)。これを特別受益の持ち戻しの免除といいます。
持ち戻し免除の意思表示は特別な方式は要せず、贈与と同時でなくても良いし、明示でも默示でもよいとされています。
遺贈についての持ち戻しの免除の意思表示は、遺贈が様式行為である関係から遺言によってなされる必要があると考えられています。
遺産分割の方法
相続財産を分けるには、次の4つの方法があります。
①現物分割
Aの土地は長男に、Bの土地は長女に、その他の財産は次男にと遺産そのものを現物で分ける方法です。
②換価分割
相続財産を売り払って金銭に換えて、それを相続人の間で分配する方法です。
各相続人の法定相続分どおりに遺産を分割したい場合、現物分割をすると価値が下がる場合などにはこの方法をとります。
③代償分割
特定の財産(現物)を相続する代わりに、他の相続人に金銭を引き渡す方法です。
代償金がない場合には現実化できません。
④共有
相続財産を共有のままにしておくという方法です。後にトラブルの元になったりします。
遺産分割協議
遺言書がなかった場合は、相続人全員が協議をして、「誰が何を相続するのか」を決めます。この協議を遺産分割協議といいます。
押印には実印を使用し、印鑑証明書を添付します。
相続人が少数で、相続財産もはっきりしていて、誰も配分に異存がない場合は、遺産分割協議書の作成は簡単です。