相続財産1
相続財産
●貸付信託受益証券の評価
相続財産
相続財産は預貯金や不動産などのプラスの財産の他、借入金、未払金などのマイナスの財産も相続財産となります。相続によって相続人に承継される権利義務の一切のことを「相続財産」といいます。
■相続財産調査
①不動産
①郵便物
銀行からの郵便物、固定資産税納税通知書等をチェックします。
■プラス財産
・不動産
土地(宅地、農地、山林、牧場、貸地など)
建物(居宅、マンション、アパート、倉庫、店舗など)
権利(借地権、借家権、地上権、定期借地権など)
・現金、有価証券
現金、預貯金、株券、証券、投資信託、社債、国債、貸付金、売掛金、立替金、手形、小切手、出資金
・動産
(家庭用財産)
自動車、家具、船舶、貴金属、宝石、骨董品、美術品など
・生命保険金
保険金受取人が被相続人となっている場合には、相続財産となります。
・著作権
・その他
電話加入権、ゴルフ会員権、慰謝料請求権、損害賠償請求権など
■マイナス財産
・負債
借入金、買掛金、未払い金、住宅ローン、振出小切手、手形債務、損害賠償金、未払い家賃
・税金関係
未払いの税(所得税、住民税、固定資産税、その他)
・その他
未払い分の家賃、未払い分の医療費、預かり敷金
■相続税が特別に係る財産
・被相続人から生前に贈与を受けて、贈与税の納税猶予の特例を受けていた農地や非上場会社の株式など
・相続人がいなかった場合に、民法の定めによって相続財産人法人から与えられた財産
■相続財産に該当しないもの
・遺族の生活を保証するもの
死亡退職金、受取人指定のある生命保険金、死亡退職金
・遺族への経済的負担を補うもの
香典、弔慰金
・祭祀に伴うもの
墓地、墓石、仏壇、仏具、神具
・その他
財産分与請求権、生活保護受給権、扶養請求権、など
国、地方公共団体に寄付した財産
■相続財産の評価
●土地
「一物四価」といって、土地には異なる4つの価格が定められています。
4つの価格とは、路線価・実勢価格・公示地価・固定資産評価額です。
・路線価方式(路線価が定められている場合)
主に市街地的形態を形成する地域で採用される方式で、毎年各国税局が作成する路線価図に基づいて土地を評価します。
路線価×(補正率・加算率)×地積=評価額
土地の形状(2つの道路に面している、間口が狭い、土地の形が三角であるなど)による加算、減算を行います。
路線価は、相続税の他、贈与税や地価税の課税標準算出の基礎として使われます。
路線価は、国土交通相が発表する公示価格の概ね80%になるように設定されています。
・倍率方式
倍率方式とは、路線価が定められていない地域の土地の相続税評価方法です。
固定資産税評価額に国税局長が定めた一定の倍率をかけて計算します。
固定資産税評価額×評価倍率=評価額
・貸宅地(宅地として貸している土地)
借地権がついている宅地は、自由に処分ができないため、自用地である場合より低く評価されます。
路線価ー(路線価×借地権割合)
借地権割合は、国税局のHPの財産評価基準の中に掲載されていて、地域に応じて路線価図にアルファベットで表示されています。
一般的に地価の高い地域ほど借地権割合が高くなる傾向があります。
具体的な借地権割合は、A90%、B80%、C70%、D60%、E50%、F40%、G30%です。
・広大地
土地の存在する地域の標準的な宅地の面積に比べて著しく面積が広大であり、その土地を分譲、開発する場合の道路や公園等公共公益的な施設の用地を確保する必要がある土地のことをいいます。
広大地の条件を満たせば広大地補正率による大幅な評価減が可能です。
(財産評価基本通達24−4) 広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大で都市計画法第4条12項に規定する開発行為を行うとした場合の公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいう。 ただし、 ・大規模工場用地に該当するもの(工業専用地域など) ・中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(マンション適地)を除く。 を除く。 |
広大地の評価額=路線価×広大地補正率×土地の面積
広大地補正率=0.6−0.05×地積/1,000㎡
・農地
農地を評価する上で重要なのが農地区分です。農地区分には農地法による区分と相続税法による区分の2種類があります。
農地については、農地法などにより宅地への転用が制限されていて、また、都市計画等により地下事情も異なりますので、これらを考慮して、農地の価額は次の四種類に区分して評価を行います。
純農地、中間農地、市街地周辺農地、市街地農地の四種類です。
農地を相続する場合、条件を満たすと、納税猶予の特例を受けることができます。
①純農地
倍率方式によって評価します。
財産評価基本通達第2章第3節36において、以下のいずれかに該当する土地が純農地に該当すると規定されています。
農用地区域内にある農地。
市街化調整区域内にある農地のうち、第1種農地または甲種農地に該当するもの。
上記に該当する農地以外の農地のうち、第1種農地に該当するもの。ただし、近傍農地の売買実例価額、精通者意見価格等に照らし、第2種農地または第3種農地に準ずる農地と認められるものを除く。
【農用地の区分について】
②中間農地
中間農地は都市近郊にある農地で純農地よりも農業制作上の規制が緩く、売買が純農地よりも多くなされる可能性が高い農地をいいます。
次の農地のうち、そのいずれかに該当するものをいいます。
・第2種農地に該当するもの
・近傍農地の売買実例価額、精通者意見価額などに照らし、第2種農地に準ずると認められるもの
中間農地の価額は、その農地の固定資産税評価額に、田または畑の別に、地価事情の類似する地域ごとに、その地域にある農地の売買実例価額、精通者意見価額等を基として国税局長の定める倍率(インターネットでも閲覧することができます)を乗じて計算した金額によって評価します。
中間農地の価額=固定資産税評価額×倍率
③市街地周辺農地
市街地周辺農地とは第3種農地に該当するもの第3種農地に該当しない農地のうち近傍農地の売買実例価額等を照らして第3農地に準ずる農地と認められるもの、に当てはまるものを指します。
市街地周辺農地の評価は、その農地が市街地農地であるとした場合の価額の80%に相当する金額によって評価します。
④市街地農地
市街地農地とは、次に掲げる農地のうち、そのいずれかに該当するものをいいます。
農地法第4条(農地の転用の制限)または第5条(農地または採草放牧地の転用のための権利移動の制限)に規定する許可を受けた農地
市街化区域(都市計画法第7条(市街化区域及び市街化調整区域)第2項に規定する「市街化区域」をいいます)内にある農地
農地法等の一部を改正する法律附則第2条第5項の規定によりなお従前の例によるものとされる改正前の農地法第7条第1項第4号の規定により、転用許可を要しない農地として、都道府県知事の指定を受けた農地
市街地のうちの評価は、宅地批准方式または倍率方式により評価します。
【貸農地の評価】
他人に農地を貸している場合の農地の評価は、農地として評価した価額から、耕作権等の権利の価額を控除して評価します。
農地に設定される権利には、「耕作権」、「永小作権」、「区分地上権」、「区分地上権に準ずる地役権」があります。
農地法上の権利設定のない農地の場合は、他人が農地を借りて耕作していても、課税評価の時には自用地として評価され、控除はされません。
●耕作権
①純農地・中間農地の耕作権割合:50%
②市街地周辺農地、市街地農地の工作権割合:税務当局によって異なる
●永小作権
農地の自用地としての価額ー永小作権の価額
●区分地上権
農地の自用地としての価額ー区分地上権の価額
・山林の評価
山林は相続税評価上、以下の3種類の区分されます。
①純山林
純山林とは、市街地から遠く離れたり、別荘地帯にある山林のように宅地の価額の影響を受けていないような山林をいいます。
倍率方式(倍率表に書かれている倍率を固定資産税評価額のかけることでもとめます)で評価されます。
②中間山林
①の純山林と③の市街地山林の中間の山林のことをいいます。
倍率方式で評価されます。
③市街地山林
市街地山林とは、市街地にあり、土地評価に宅地の影響を受ける山林のことをいいます。
市街地山林は、その山林が宅地であるとした時の1㎡あたりの評価額から、国税局長が定める1㎡あたりの造成費を控除した金額に、土地の面積を乗じて計算した金額が評価額となります(宅地批准方式)。
宅地への転用が見込めない場合の市街地山林では、近隣の純山林の評価額に批准して評価します。
・生産緑地の評価
【生産緑地の概要】
市街化区域内において農地を所有する場合、固定資産が高額となり、 採算の取れる農業経営を行うことは難しくなります。
生産緑地に指定された農地では固定資産税などが一般農地と同様に極めて低い税額に抑えられるほか、相続税の納税猶予措置などが適用されます。
生産緑地に指定するための要件は、生産緑地法によって定められています。
改正生産緑地法が適用されたのは1992年度からですが、生産緑地の多くは初年度に指定を受けているため、2022年に営農義務が外れることになります。
生産緑地のほとんどは三大都市圏に集中しています。
【生産緑地の要件】
①市街化区域内の農地等であること
②現に農業の用に供されていること
③500㎡以上の規模の区域であること
幅員6m以下の道路や水路が介在していても、一団の農地として認められます。
④用排水等の営農の継続が可能な条件を備えていること
⑤土地の関係権利者の同意を得ていること
⑥工業専用地域の区域外であること
⑦災害や公害を防止したり、良好な都市環境を守る役割を果たしていること
塀で囲まれている土地や、適正に農地として管理されていない土地は指定されません。
⑥公園や緑地、公共施設等の用地として適していること
【評価】
①課税時期において市町村に対し買取の申し立てをすることができない生産緑地
●建物
建物は、固定資産税評価額と同じ額が評価額となります。
固定資産税評価額は、毎年4月頃、役所から送付される固定資産税の納付通知書に記載されていますが、税務署には固定資産税評価証明書を提出することになります。
固定資産の価額は総務大臣が定めた「固定資産評価基準」に基づいて、再建築価額を基準とした方法で行うこととされています。
【貸家の相続税評価額】
他人に賃貸している家屋を相続した場合には、貸家の相続税評価が必要になります。
更地に賃貸住宅や貸ビルを建設した場合、更地の時に比べ土地の相続税の評価が下がります。
貸家は、一般の賃貸住宅のみならず、貸しオフィス、貸し倉庫、もしくは設備を他の事業主に貸して事業を行わせる建造物などを含めて貸家と称します。
貸家の評価額=通常の評価額×(1−借家権割合×借地権割合)
ちなみに、借家権割合は全国ほぼ一律に30%となっています。
借地権割合は、路線価図で定められている地域ごとの数字です。
【建築中の家屋の相続税評価】
被相続人が住宅を建築中に相続が発生した場合、建築中の家屋の相続税評価が必要になります。
その家屋が建築請負契約によるものである場合には、その建築に係る請負主がその所有権を有しており、その評価は課税時期における費用現価の額の70%相当額とされています。
●有価証券
株や投資信託、外貨、公社債などはそれぞれに評価方法が定められています。
株式や債券等は、株券等を確認し、証券会社に照会します。
①上場株式の評価
上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式のことをいいます。
上場株式は、次にあげる4つのうち、いずれか低い金額をもって評価します。
・被相続人が死亡した日の終値
・相続発生月の終値の月平均額
・前月の終値の月平均額
・前々月の終値の月平均額
市場取引相場のある株式は、ちょっとしたことで価格が変動するため、それを調整するためにこのような制度が設けられています。
ただし、負担付贈与で取得した上場株式は、相続時の終値によって評価します。
被相続人が取引していた証券会社に依頼して、被相続人が所有する全銘柄についての、死亡日を基準とした4つの価格を記載した残高証明書を発行してもらうことができます。
②非上場株式の評価
中小企業のような上場していない会社の株式を評価する場合、客観的な数値がありません。
相続で株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により、それぞれ原則的評価方式または特例的評価方式の配当還元方式により評価します。
・原則的評価方式
支配権を有する同族株主が取得する株式の評価は、会社の業績や資産内容等を反映した原則的評価方式で評価します。
類似業種比準方式、純資産価額方式、併用方式の3種類があります。
【純資産価額方式】
純資産価額方式(国税庁方式)は、中・小規模の評価会社の株式を評価する上で使用する評価方法をいいます。
純資産価額方式は、株式を仮に評価会社が解散した場合に、その会社の株主に分配されるはずの正味の財産価額で評価しようとするものです。
会社の課税時期に置ける総資産を、原則として相続税の評価で算定し、その評価した価額から、負債(相続税評価額)や評価差額に対する法人税額を差し引いた、残りの金額(純資産価額)により評価する方法です。
【類似業種比準方式】
上場している類似業種の株価を基にして、評価する会社の一株あたりの配当金額・年利益金額・純資産価額の3要素を比準して評価する方法です。
この方法は、利益や配当を多く出している会社の株価は高くなります。
業種や規模が似ているからといって単純に類似する上場株式と同じ評価額とすることは適当ではありません。
類似業種批准方式による場合には、次の点に注意しなければなりません。
①1株あたりの配当金額
●評価の注意点
①課税時期前3年以内に取得した土地や建物の価額は、課税時期における通常の取引価額に相当する金額で評価します。
②繰延資産などの換金価値のない資産に関しては評価額をゼロとします。
③純資産額がマイナスの場合は、1株あたりの純資産価額はゼロとなります。
④課税時期が会社の決算日と異なる場合には、仮決算を行うことが原則とされていますが、直前期末から課税時期の間に資産及び負債に著しい変動がなく評価額への影響が少ないと認められる場合には、直前期末の数値を用いることができます。
④子会社株を保有している場合、その含み益は38%控除対象外となりますので、優良子会社株式を持っていると純資産価額は高額になるケースがあります。
⑤同族株主等の議決権割合が50%以下の場合は、純資産価額を20%減額することができます。
⑥保険料・賃貸料等の前払費用を資産に計上すべきか否かは、課税時期においてこれらの費用に財産的価値があるかどうかによって判断することとなります。
⑦評価会社が被相続人の死亡を保険事故として受け取る生命保険金については、その生命保険請求権を資産に計上しなければなりません。
⑥被相続人の死亡により、相続人その他の者に支給することが確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与の額は、負債に計上します。
・特例的評価方式
いわゆる配当還元方式のことです。
概算は以下の算式で求めることができます。
(会社の資産−会社の負債)÷発行株式総数×相続財産となる株式数
●投資信託の評価
証券投資信託の受益証券の評価は、課税時期において解約請求または買取請求した場合に証券会社から支払を受けることができる価額になります。被相続人の取得時の取得価額は関係しません。
①上場している投資信託
ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)などは、上場株式と同様の方法で評価します。
中期国債ファンドやMMFなど、毎日決算を行う日々決算型の証券投資信託の受益証券のケースにおいては、証券会社等から支払を受けることが可能な価額とし、以下の計算方法によって評価を行います。
1口当たりの基準価額(A)に口数(B)をかけ、再投資されていない未収分配金(C)を加え、そこからBによって源泉徴収をされる所得税の額に相当している金額(D)と、解約手数料(E)を引いた金額となります。
A×B+C−D−E
② ①以外の証券投資信託の受益証券
1口当たりの基準価額×口数−源泉税相当額−解約手数料
●貸付信託受益証券の評価
貸付信託とは、信託銀行が信託契約によって預かった資金を、企業への長期貸付や手形割引によって運用し、そこから生じた収益が元本に応じて支払われる信託商品です。当該信託契約にかかる受益権を受益証券によって表示します。
貸付信託の最長預入期間は5年で、2009年を最後に新規募集が停止されていることから、2014年までにすべて満期償還が終わっています。
課税時期において貸付信託設定日から1年以上を経過している貸付信託の受益証券の価額は、その証券の受託者が課税時期においてその証券を買い取ったとした場合における次の算式により計算した金額により評価することになっています。
元本の額+既経過収益額-源泉所得税相当額-買取割引料
貸付信託の設定日から1年以上が経過していない場合には、この算式に準じて計算した金額が評価額となります。
●公社債の評価
公社債とは、国や地方公共団体、事業会社などが一般投資家から資金を調達するために発行する有価証券です。
公社債は、利付公社債、割引発行の公社債、元利均等償還が行われる公社債、転換社債型新株予約権付社債の四つの区分に分けられています。
【利付公社債】
・証券取引所に上場されている利付公社債
課税時期の最終価格+(既経過利息−源泉所得税額)=評価額
・日本証券協会において売買参考統計値が公表される銘柄として選定された利付公社債
平均値+(既経過利息ー源泉所得税額)=評価額
・その他の利付公社債
発行価額+既経過利息−源泉所得税額=評価額
【割引公社債】
割引公社債とは、券面額を下回る価額で発行される債権のことをいい、券面額と発行価額との差額が利子に相当する部分となっているものです。
・上場銘柄の場合:金融商品取引所が公表する最終価格×券面額÷100円
・売買参考統計地が公表される銘柄として選定された割引公社債:平均値×券面額÷100円
・その他の場合:発行価額+(券面額−発行価額)×(発行日から課税時期までの日数÷発行日から償還日までの日数)
●生命保険金
被相続人の死亡によって保険金が支払われたときは、その保険料を被相続人が負担していた場合は、相続税として申告が必要になります。
保険金を支払うために被相続人が保険原資を積み立てていたとみなされ、被相続人の財産と考えます。
本来の相続財産ではありませんが、被相続人の死亡によって相続人が受け取ったということで、「みなし相続財産」と呼んで、相続税の対象となります。
●ゴルフ会員権の評価
原則として通常の取引価格の7割
【みなし相続財産】
「みなし相続財産」は「本来の相続財産」とは異なり、被相続人が所有していた財産で相続人に承継された財産ではないのですが、被相続人の死亡に伴い相続人等が経済的利益を得ることとなる実態が、相続又は遺贈による財産承継と同様であることから、相続税法上、相続税が課税される財産として取り扱われます。
○主な「みなし相続財産」
・生命保険金または損害保険金
・退職手当金等
退職手当金等には、次のものが含まれます。金銭のみならず、現物支給も含まれます。
①退職手当金
②功労金
③その他これに準ずる給与
亡くなって後3年以内に支給額が確定した退職手当金のみが相続税の課税対象になります。
3年を超えて支給された場合は、受給者の一時所得として所得税等の課税対象になります。
相続税の申告後に退職手当金等の支給額が確定した場合は、相続税の修正申告をします。
退職手当金等には、非課税限度額が存在します。
非課税限度額=500万円×法定相続人の数
退職手当金等の相続税法上の扱いは、受け取り人の立場により異なります。
①相続人:相続により取得したものとして扱う
②相続放棄をした人・相続権を失った人・相続人以外の人:遺贈により取得したものとして扱う
弔慰金については、明らかに退職手当金となるものを除き、業務場死亡の場合は普通給与の3年分、それ以外の場合は普通給与の半年分を超えると退職手当均等に含まれ、課税の対象になります。
※普通給与とは、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などの合計額をいいます。
死亡退職金や死亡保険金がみなし相続財産の中で代表的なものとなっています。
死亡退職金は故人が受け取った上で遺族に引き継がれるものではなく、受取人固有の財産と言えますので、相続財産には当たらず遺産分割の対象にはなりません。
死亡退職金は相続財産にはなりませんが、個人の死亡によって遺族が財産を取得するという点では本来の相続財産と類似しているため、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。
●遺産評価の基準時
相続財産の評価は、遺産分割が現実に行われる時を基準にします。
ただし、遺産分割協議や調停において、基準時を相続開始時とするという合意をすることは自由です。
遺産分割審判がなされる場合の基準時は、その審判の時となります。
相続税を計算するための遺産の評価は、相続開始時です。
●相続税のかからない財産(非課税財産)
非課税相続財産とは、相続又は遺贈により取得した財産のうち、その性質等が社会政策的見地、人間感情等の側面から、課税の対象とするのは適当でないと認められるため、課税対象から除かれるものをいいます。
①皇室経済法の規定により皇位とともに皇嗣が受けたもの
②墓地、墓石、霊廟、祭具、位牌、仏壇、仏具、神棚など
これらは祖先を崇拝するという慣習や国民感情などに配慮して相続税はかかりませんが、金の仏像などを骨董品として価値が有るものや投資対象となるものは、非課税とはなりません。
③香典、花輪代、弔慰金
遺族に対するお悔やみとしてわたされる香典などは、その金額が世間一般の常識的な金額の範囲内であれば、相続税がかかりません。
弔慰金についても一定の金額までは相続税が非課税とされています。
・業務上の死亡:死亡時の普通給与の3年分
・その他の死亡:死亡時の普通給与の6ヶ月分
④生命保険の一部
500万円×法定相続人の数については相続税が非課税となります。
⑤死亡退職金の一部
500万円×法定相続人の数については相続税が非課税となります。
⑥事故などの損害賠償金
交通事故や飛行機事故で被相続人が死亡した場合は、遺族の精神的な苦痛に対する慰謝料としての賠償金を請求する権利の部分については、相続税も所得税もかかりません。
⑦公益事業用財産
宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人等が相続や遺贈によってもらった財産で公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの
⑧心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の受給権
⑧個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で一定の要件を満たすもの
⑩国等に対する寄付財産
国、地方公共団体等に対し相続財産を相続税の申告期限までに寄付した場合の寄付財産。あるいは、特定の公益信託の信託財産とするために支出したもの。