後遺症と後遺障害

後遺症とは病気や怪我の主症状が治癒した後も残存する機能障害や神経症状などの症状のことです。

後遺障害とは、交通事故により受傷した傷害を継続的に治療を受けたのにもかかわらず、医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待できない状態(症状固定)に至ったときに、医師に後遺障害診断書を書いてもらい、その診断書に基づいて自賠法施行令の後遺障害等級認定を受けた障害のことです。

障害により労働能力の喪失が生じているかどうかという観点から捉えます。

自賠責保険において、保険金額を決定するのは自賠責保険会社ですが、損害額や後遺障害等級の認定については、保険会社によって異なることがないように、特殊法人損害保険料率算出機構が行っています。
自賠責保険では後遺障害の逸失利益と慰謝料が保険金支払いの対象となっていますが、支払対象となる後遺障害は、障害が残存した部位や程度によって、最も重い1級から軽い14級までの等級を定めており、138に類型化されています。


後遺障害問題を考える
交通事故の被害者になった時、加害者側の保険会社の対応に、多くの人が不満を感じます。保険会社は営利企業です。費用(損害保険金)の支払をいかに低く抑えるかは営利企業としての最大のテーマです。

被害者請求

交通事故の後遺症で、他覚所見のない痛みや痺れが後遺障害として認められなくて、悩む方は多くおられます。医学的に証明できないために、「保険金目当てではないか」と疑われているのではないかと思えるようなことも時にはあります。
是非、一度当事務所の交通事故メール相談の門を叩いてみて下さい。

後遺障害における素因減額

素因減額とは、後遺障害を負った被害者に既存障害があった場合、その素因(心因的素因、身体的素因があります)が損害の発生や拡大の影響していたとして、損害賠償額を減額するとする考え方です。素因減額をするかどうかは、個別に検討されます。

最高裁判所が民法第722条2項「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」を類推適用して判決しました(最高裁昭和63年4月21日判決)。

損害の公平分担という考え方です。

身体的特徴、妊娠、年齢相応の加齢変性等は素因減額の対象にはなりません。

保険会社は最初から既往症減額を行うことがあります。
確かに、賠償論としては減額の対象となるでしょうが、初期の段階から減額を行うことは受け入れられません。
既往症があったにせよ、そのきっかけを作ったのは事故によるものです。保険会社は、「払いすぎない」を念頭に既往症を主張しますが、被害者は原状復帰を望んでいるのです。

●首長事件(最高裁判決平成8年10月29日)

 ・事件の概要

 被告は、昭和62年2月、宮崎県東臼杵郡内の道路上において、普通乗用自動車を運転中、原告の運転する自家用乗用自動車に追突した。原告は、運転席のシートに頭部を強く打ちつけ、その直後から首筋に痺れや痛みを感じ、翌日、整形外科医院において受信し、頚椎捻挫と診断された。原告は、約9ヶ月間、入院し治療を受けたが、頚部、後頭部疼痛等の症状があり、退院後も通院治療を継続している。原告は、入院中に視力の低下を訴えて、眼科医院において受診したところ、矯正視力の低下等の症状が見られた。これらの眼症状は、頭頸部外傷症候群によるものと診断された。

・判旨

 被害者にたいする加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とが共に原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、裁判所は、損害賠償の額を定めるにあたり、民法722条2項の規定を類推適用して、被害者の疾患を斟酌することができることは、判例とするところである。しかしながら、被害者が平均的な体格ないし通常の体質と異なる特徴を有していたとしても、それが疾患にあたらない場合には、特段の事情の存しない限り、被害者の身体的特徴を損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することは出来ないと解すべきである。けだし、人の体格ないし体質は、すべての人が均一同質なものということはできないものであり、極端な肥満など通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴を有するものが、転倒などにより重大な傷害を被りかねないことから日常生活において通常人に比べてより慎重な行動をとることが求められるような場合は格別、その程度に至らない身体的特徴は、個々人の個体差の範囲として当然にその存在が予定されているものというべきだからである。

 上告人の身体的特徴は首が長くこれに伴う多少の頚椎不安定症があるということであり、これが疾患にあたらないことはもちろん、このような身体的特徴を有するものが一般的に負傷しやすいものとして慎重な行動を要請されているといった事情は認められないから、前記特段の事情が存するということはできず、右身体的特徴と本件事故による加害行為とが競合して上告人の右傷害が発生し、又は右身体的特徴が被害者の損害の拡大に寄与していたとしても、これを損害賠償の額を定めるに当たり斟酌するのは相当でない。

※民法722条2項:被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

※1審・2審は、被告らの責任を認めたものの、原告の身体的特徴つまり平均的体格に比して首が長く、頚椎の不安定症があるという点が症状を悪化ないし拡大させた等の理由から、民法722条2項を類推適用し、認定損害を4割減額した。

示談後に後遺症が出た場合
示談を終えた後に後遺症が出た場合には、追加請求することができます。
ただし、示談書作成時点ですでに後遺症が出ていて、そのことを加害者が知っていた場合にはその限りではありません。

注意点は以下の二つです。
①この請求をするときは、交通事故による症状であることを被害者が立証しなければなりません。
一般的に交通事故からの期間が長いほど、立証が難しくなります。
②示談時に予想外の症状でなくてはなりません。以前よりも首が痛くなったという程度ではダメです。
トラブル回避のために、示談書には「将来、本件事故が原因で後遺症が発生したときは別途協議する』という一文を入れたりします。
いずれにせよ、示談書の作成テクニックがその後の状況を大きく変えるでしょう。

将来介護費用

遷延性意識障害、高次脳機能障害、重度な麻痺で、症状固定後も介護を要する重度の後遺障害が残った場合には、将来にわたって介護が必要になります。

後遺障害の内容・程度・介護の負担などに応じた介護費が損害金として認められます。

介護費用の計算式は、

介護費用の日額×365日×平均余命年数までのライプニッツ係数

です。

介護費用の日額については、職業介護者の場合は実費、親子や配偶者等の近親者の場合は、常時介護か随時介護かなど、具体的な内容に応じて金額が増減しますが、1日あたり6500円〜8500円が賠償すべき損害として認められています。

平均余命は厚生労働省が作成している簡易生命表によります。

職業介護者の必要性については、後遺障害の内容・程度、常時介護か随時介護など介護の実態、介護する家族の有無や就労状況など、個別具体的な事情によって判断されます。


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