部位別後遺障害

1 眼(まぶたを含む)

2 

3 

4 

5 神経系統の機能又は精神

6 醜状障害(頭部、顔面、頚部、上肢、下肢)

7 胸腹部臓器(生殖器を含む)

8 脊柱、体幹骨

9 上肢

10 手指

11 下肢

12 足指

13 非器質性精神障害(うつ病、PTSD)

14 高次脳機能障害

15 遷延性意識障害

 

1 眼(眼球及びまぶた)の後遺障害
■眼の障害と障害等級
眼の障害については、眼球の障害として視力障害、調節機能障害、運動障害、視野障害に分類され、まぶたの障害として欠損障害及び運動障害について分類され、等級が定められています。
視力障害では、頭部外傷による視神経損傷と、眼球の外傷を原因とするものがあります。
視力の測定は万国式試視力表によります。
障害等級表にいう視力とは、裸眼視力ではなく、矯正視力をいいます。

等         級 障  害  の  程  度

 

 

視力障害

第1級

第2級

 

第3級

第4級

第5級

第6級

第7級

第8級

第9級

 

第10級

第13級

両眼が失明したもの

①1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの

②両眼の視力が0.02以下になったもの

1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの

両眼の視力が0.06以下になったもの

1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの

両眼の視力が0.1以下になったもの

1眼が失明し、他眼の視力が0.6以下になったもの

1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの

①両眼の視力が0.6以下になったもの

②1眼の視力が0.06以下になったもの

1眼の視力が0.1以下になったもの

1眼の視力が0.6以下になったもの

調節機能障害

第11級

第12級

両眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

1眼の眼球に著しい調節機能障害を残すもの

運動障害

第10級

第11級

第12級

第13級

正面視で複視を残すもの

両眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

1眼の眼球に著しい運動障害を残すもの

正面視以外で複視を残すもの

視野障害

第9級

第13級

両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

欠損障害

第9級

第11級

第13級

第14級

両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの

両眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの

1眼のまぶたの一部に欠損を残し、又はまつげはげを残すもの

運動障害

第11級

第12級

両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの

2 耳の後遺障害
 耳の後遺障害は〔聴力障害〕と〔耳介の欠損〕に分かれています。

頭部外傷を原因とする聴覚神経の損傷は本来、脳神経外科や神経内科の領域で、耳鼻科の得意とするところではありません。耳鼻科にお願いするのは、立証のための検査だけです。
三半規管のある内耳を損傷すると平衡機能障害生じることがあります。平衡機能障害は神経系統の機能の障害として等級が認定されます。

聴力障害
 聴力障害の等級は、純音による聴力レベル(純音聴力レベル)と語音(言葉を組み立てている音)による聴力検査結果(明瞭度)で認定されます。
・聴力障害は、オージオメータを用いて行う純音聴力検査等により、聴力を数値によって測り、一定のレベルに達しているかどうかで等級が認定されます。
・聴力検査は日を変えて3回(検査日の間隔は7日程度)行います。
・耳の聴力は、0dBが正常値で、20dBぐらいが普通の日常生活で困らないくらい、30dB以上の難聴があり、なおかつ耳鳴りを伴っているのが後遺障害の対象となります。
・3回の検査数値の差が10dBでおさまっていれば、2回目を採用します。10dB以上の差があればやり直しです。
・明瞭度はスピーチオージオメトリーという機器で測定します。
・むち打ち損傷(バレ・リュー症候群)の場合に、聴力障害や耳鳴りの症状を生じる場合がありますが、自賠責調査事務所の判断では、これらの症状は耳の後遺障害ではなく、神経症状として、14級9号又は12級13号として評価されます。

両耳の聴力(障害等級別)

4級3号

両耳の聴力を全く失ったもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの

6級3号

両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上のもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上80dB未満であり、かつ、最高明瞭度が30%以下のもの

6級4号

1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが90dBいじょうであり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが70dB以上のもの

7級2号

両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上のもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの

7級3号

1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが

60dB以上のもの

9級7号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが60dB以上のもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの

9級8号

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のもの

10級 

  5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話し声を解することが困難である程度になったもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上であり、かつ、最高明瞭度が70%以下のもの

11級

  5号

両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

 ・両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上のもの

 一耳の聴力

9級9号

1耳の聴力を全く失ったもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のもの

10級        

 6号

1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが80dB以上90dB未満のもの

11級    

 5号

1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが70dB以上80dB未満のもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが50dB以上であり、かつ、最高明瞭度が50%以下のもの

14級  

 3号

1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

 ・1耳の平均純音聴力レベルが40db以上70dB未満のもの

12級

  4号

1耳の耳殻の大部分を欠損したもの

 ・耳介の軟骨部の1/2以上を欠損したもの

※等級認定に当たっては、耳介の欠損障害として捉えた場合と外貌の醜状障害と捉えた場合の等級のうち、いずれか上位の等級が認定されます。

耳漏 (じろう=耳からの分泌物、血性分泌物、耳垢、膿、分泌液の排出)

12級 常時耳漏があるもの
14級 その他のもの

耳鳴り

12級 耳鳴りにかかる検査によって難聴に伴い著しい耳鳴りが常時あると評価できるもの
14級 難聴に伴い常時耳鳴りのあることが合理的に説明できるもの

欠損障害

12級 耳の耳殻の大部分を欠損したもの

※「耳殻の大部分の欠損」とは、耳殻の軟骨部の1/2以上を欠損したものをいいます。

3 鼻の後遺障害
 鼻の後遺障害には、鼻の欠損による機能障害があります。
【自賠法施行令別表第二】

第9級5号 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの

以下の両方を満たすものです。
①鼻の欠損:鼻軟骨部の全部又は大部分の欠損
②機能に著しい障害を残すもの:鼻呼吸困難又は嗅覚脱失

鼻の欠損は、「外貌醜状」としても捉えられますが、耳介の欠損と同様、それぞれの等級を併合することはせずに、いずれかの上位の等級を認定します。
鼻を欠損しないで鼻の機能障害のみを残すものについては、機能障害の程度に応じて等級が準用されます。

第12級2号相当 嗅覚脱失または日呼吸困難が存するもの
第14級9号相当 嗅覚の減退のみが存するもの

 嗅覚の検査には、T&Tオルファクトメータによる平均嗅力損失値により区分します。

嗅覚脱失 5.6以上
嗅覚の減退 2.6〜5.5

4 口の後遺障害
 口の障害には、咀嚼(そしゃく)の機能障害、言語の機能障害、歯牙障害があります。

◆咀嚼の機能障害
 咀嚼の機能障害は、咬合不正、咀嚼をつかさどる筋肉の障害、顎関節の生涯、開口障害、歯牙損傷などを原因として発症します。

等級 障害の程度 労働能力喪失率
1級2号 咀嚼及び言語の機能を廃したもの 100%
3級2号 咀嚼又は言語の機能を廃したもの 100%
4級2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの 92%
6級2号 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの 67%
9級6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの 35%
10級2号 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの 27%

「咀嚼機能を配したもの」とは、流動食以外は摂取できないものをいいます。
「咀嚼機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できないものをいいます。
「咀嚼機能に障害を残すもの」とは、固形食物の中に咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあり、そのことを医学的に証明できる場合をいいます。

◆言語の機能障害
 4種類の語音が発音できるかどうかによって区別されます。

  1. 口唇音(ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ)
  2. 歯舌音(な行音、た行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ)
  3. 口蓋音(か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)
  4. 咽頭音(は行音)

「言語の機能を廃したもの」とは、4種の語音のうち、3種以上の発音不能のものをいいます。

「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは、4種の語音のうち2種の発音不能のもの又は綴音(てつおん。二つ以上の単音が結合してできた音)機能に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないものをいいます。

「言語の機能に障害を残すもの」とは、4種の語音のうち、1種の発音不能のものをいいます。

◆歯牙障害
 自賠責保険における後遺障害等級とその障害の程度は、下記のとおりです。

等級 障害の程度 労働能力喪失率
 10級3号  14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの  27%
 11級4号  10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの  20%
 12級3号  7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの  14%
 13級5号  5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの  9%
 14級2号  3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの  9%

「歯科補綴を加えたもの」とは、現実に喪失(抜歯を含む)、又は著しく欠損した歯牙(歯冠部の体積4分の3以上の欠損)に対する補綴、および歯科技工上、残存歯冠部の一部を切除したために歯冠部の大部分を欠損したものと同等な状態になったものを補綴したものをいいます。

インプラント治療
事故で歯を欠いたり、失った場合のインプラント(人工歯根)治療については、保険会社や担当者によってその対応は様々ですが、担当医がインプラントを治療方法に一つとして認識していることと、患者がインプラント治療を選択していることが必要です。
欧米での交通事故患者は、インプラント治療を第一選択肢としているそうです。
インプラント治療ができるかできないかの判断を保険会社がすることは出来ません。
インプラントは、見た目や印象が天然の歯と変わらず、ブリッジや義歯と比べると、咀嚼機能性や審美性に優れているといわれています。
インプラントとは、チタン製の人工歯根をあごの骨に埋め込み、その上に人口の歯を固定する治療方法です。手術を伴い治療期間は長くなり、治療費は高額になります。
インプラント歯周病と呼ばれる骨を溶かしてしまう病気があり、定期的なメンテナンスが必要になります。
自賠責保険の支払い基準では、1歯8万円までです。
生命保険では先進医療特約があっても、インプラントは認められないとされていますが、認められたケースもあります。
労災保険では、インプラント治療費を認めないようです。

◆味覚障害
 味覚の障害は、頭部外傷による高次脳機能障害や舌の損傷、顎周辺組織の損傷等を原因として発症します。
 ・味覚脱失
  ア 味覚脱失は、濾紙ディスク法における検査により、基本4味質すべてが認知できないものをいいます。
  イ 味覚脱失については12級を準用します。
   ※濾紙ディスク法:舌の味を認識する部位に最高濃度溶液を浸した小さな濾紙を置き、どの味であるかを答えます。
   ※基本4味質:甘い(甘味)・塩辛い(塩味)・酸っぱい(酸味)・苦い(苦味)
 ・味覚減退
  ア 味覚減退は、濾紙ディスク法による検査により、基本4味質のうち、1味質以上を認知できないものをいいます。
  イ 味覚減退については14級を準用します。
 ・障害認定の時期
  症状が暫時回復することが多いため、症状が固定されてから6ヵ月後に行います。

電気味覚検査法は、金属味又は酸味という特定の味質のみを味覚の指標とするので、味覚障害を検査する方法としては適当でないとされました。

5 神経系統の機能または精神の障害
◆神経系統の機能または精神の障害の等級

第1級1号  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級1号  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
第3級3号  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
第5級2号  神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級4号  神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの

第9級10号

 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

第12級13号

 局部に頑固な神経症状を残すもの

第14級9号

 局部に神経症状を残すもの

◆神経系統の分類

神経系 中枢神経
脊髄
末梢神経 体性神経 運動神経
感覚神経
自律神経 交感神経
副交感神経

後遺障害で多いのは、「局部に頑固な神経症状を残すもの」の12級と、「局部に神経症状を残すもの」の14級です。これらは、「むち打ち」の項で詳しく説明しています。

◆脳の障害
 脳の障害には、「器質性障害」と「非器質性障害」があります。

  • 「器質性障害」 直接的な外傷等により、脳組織が損傷して障害を引き起こすことです。
  • 「非器質性障害」 脳組織の器質的損傷を伴わない精神障害のことです。うつ病やPTSD等が該当します。

①頭部外傷による障害
◆びまん性軸索損傷
 瀰漫(びまん)とは、一面に広がることです。軸索(じくさく)とは、神経細胞より発する1本の長い突起(神経線維)のことです。

びまん性軸索損傷は、脳全体に衝撃が加わって回転力が生じ、脳内の神経の束が切断もしくは損傷されることによって、予後が悪く、高次脳機能障害や人格障害を発症する病態をいいます。

受傷から6時間以上の意識障害が継続する重篤な症状が、びまん性軸索損傷と診断されます。

びまん性軸索損傷が起こると脳細胞が壊死し、脳が腫れる結果、頭蓋内の圧力が高まります。頭蓋内の圧力が高まると脳への血流が減少するため、損傷が悪化します。

受傷直後は、意識障害が認められ、XP、CT撮影では、広範囲の脳挫傷や頭蓋内血腫が認められません。検査方法としては、XP,CT撮影のほか、脳の血流の分布によって脳の機能障害を判断するSPECT(スペクト)検査があります。

びまん性軸索損傷には治療方法がなく、出血や脳浮腫等の二次的な病変に対して、対症療法が行われます。

高次脳機能障害
②脊髄損傷
 脊髄とは、脊椎の脊髄腔の中を通って脳から腰と胸の境目辺りまで伸びている、無数の神経線維で構成された白色の器官です。中枢神経ともいいます。中枢神経(脊髄、脳)は、一度損傷すると回復はしません。
 脊髄の損傷によって生じた麻痺の範囲及びその程度についての判定結果を踏まえて、障害等級が認定されます。

脊髄損傷の後遺障害認定には、次の項目が検討されます。

  1. 麻痺の範囲
  2. 麻痺の程度
  3. 介護の有無及び程度

◆麻痺の範囲の分類

  • 四肢麻痺 両側の四肢麻痺
  • 対麻痺   両下肢または両上肢の麻痺
  • 単麻痺   一上肢または一下肢のみの麻痺

◆麻痺の、程度

 麻痺の程度は、高度、中等度、軽度の3段階に分類されます。


意 義
高度 障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作(下肢においては歩行や立位、上肢においては物を持ち上げて移動させること)ができないもの
  1. 完全強直またはこれに近い状態にあるもの
  2. 上肢においては、三大関節及び5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
  3. 下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては稼働させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの
  4. 上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの
  5. 下肢においては、随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性及び随意的な運動性をほとんど失ったもの
中等度 障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作にかなりの制限があるもの
  1. 上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量のもの(概ね500グラム)を持ち上げることができないものまたは障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの
  2. 下肢においては、障害を残したい地価氏を有するため杖もしくは厚生装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるもの
軽度 障害のある上肢または下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢または下肢の基本動作を行う際の巧緻性及び速度が相当程度損なわれているもの
  1. 上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの
  2. 下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには階段を登ることができないもの

◆後遺障害等級認定

等級 麻痺の範囲 麻痺の程度 介護
1級 四肢麻痺 高度
中等度 食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
対麻痺 高度
中等度 食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
2級 四肢麻痺 中等度
四肢麻痺 軽度 食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
対麻痺 中等度 食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
3級 四肢麻痺 軽度
対麻痺 中等度
5級 対麻痺 軽度
一下肢の単麻痺 高度
7級 一下肢の単麻痺 中等度
9級 単麻痺 軽度
12級 軽微な麻痺等

◆PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder 心的外傷後ストレス障害)

 阪神大震災や地下鉄サリン事件でその名をよく聞きましたが、PTSDの病理研究は、ベトナム戦争に出兵したアメリカ人兵士の悲惨で残虐な戦争体験による後遺症の研究によって始まりました。

 PTSDとは、日常ではありえない死の恐怖や苦痛、悲しみを伴う出来事に遭遇して心に受けた深い傷のことです。

 ストレスとなった体験を繰り返し思い出したり(フラッシュバック)、不眠やおびえなどの悩まされる症状が続きます。

PTSDの診断基準には、ICD-10,DSM-Ⅳなどがあります。

 PTSDになる人は心の弱い人ではなく、屈強な男性でもなります。誰でもその可能性がある自然な反応ともいえるのです。診察を受けることは決して恥ずかしいことではありません。

③外傷性てんかん

 脳挫傷・頭蓋骨陥没骨折後の後遺障害として代表的な症例に、外傷性てんかんがあります。

従来は、てんかん発作の型にかかわらず等級認定がなされていましたが、発作の型により労働能力に及ぼす影響が異なることから、発作の型と頻度により障害等級が認定されることになりました。

④頭痛

頭 痛 の 後 遺 障 害 等 級 自倍責保険額
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの

「通常の労務に服することはできるが激しい頭痛により、時には労働に従事することができなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」
616万円
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの

「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛が起こるもの」
224万円
14級9号 局部に神経症状を残すもの

「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛が起こるもの」
75万円

交通事故による外傷における頭痛の発生のメカニズムは、以下の5つが考えられます。

  1. 頭部の挫傷や創傷の部位から生じる疼痛
  2. 動脈の発作性拡張で生じる血管性頭痛
  3. 頚部、頭部の筋より疼痛が発生する筋攣縮性頭痛
  4. 後頚部交感神経の異常により発生する頚性頭痛(バレ・リュー症候群)
  5. 上位頚神経の痛みの大後頭神経痛と後頭部から顔面や眼にかけての三叉神経痛

頭痛は他の後遺障害に含まれる事が多く、頭痛のみで後遺障害が認められることはあまりありません。

⑤疼痛、カウザルギー、RSD

◆疼痛の後遺障害

後遺障害等級 自賠責保険額
12級13号 通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差支えがあるもの 224万円
14級9号 通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの 75万円

疼痛以外の感覚障害(儀走感や感覚脱失等)が発現し、その範囲が広い場合は、第14級の9の認定対象になります。

◆カウザルギー(灼熱痛)

 カウザルギーとは、末梢神経の不完全損傷によって生ずる特殊な型の神経痛で、1本の神経やその主要な分枝の部分損傷後に起こる、手や足の灼熱痛です。

◆RSD(反射性交感神経性ジストロフィー)

 主要な末梢神経の損傷がなくても、外傷部位に疼痛が起こる神経因性疼痛がRSDです。

労災保険では、関節拘縮、骨の萎縮、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という3つの症状が健側と比較して明らかに認められる場合に限り、後遺障害を認定するとしています。

国際疼痛学会では、カウザルギー(type2)、RSD(type1)は共に、CRPS(Complex Regional Pain Syndrome)と呼んでいます。

  カウザルギー、RSDの後遺障害  自賠責保険額
 7級4号  軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの  1051万円
 9級10号  通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの  616万円
 12級13号  通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの  224万円

⑥失調、めまい 、平衡機能障害

 失調、めまい及び傾向機能障害については、その原因となる障害部位によって分けることが困難であるとして、総合的な認定基準にしたがって障害等級が認定されます。

失調・眩暈及び平衡機能障害の後遺障害 自賠責保険額
3級3号 生命の維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高度の失調又は平衡機能障害のために終身労務に付くことができないもの  
5級2号 著しい失調又は平衡機能障害のために、労働能力が極めて低下し一般平均人の1/4程度しか残されていないもの  
7級4号 中等度の失調又は平衡機能障害のために、労働能力が一般平均人の  1/2以下程度に明らかに低下しているもの 1051万円
9級10号 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状が強く、かつ、眼振その他平衡機能検査に明らかな異常所見が認められ、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの 616万円
12級13号 通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状があり、かつ、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められるもの 224万円
14級10号 めまいの自覚症状はあるが、眼振その他平衡機能障害検査の結果に異常所見が認められないものの、めまいのあることが医学的にみて合理的に推測できるもの 75万円

⑦身体性機能障害

 脳の損傷による身体性機能障害(麻痺)には、運動障害と感覚障害がありますが、後遺障害認定の対象となるのは、運動障害の麻痺です。麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺または単麻痺)、その程度、及び介護の有無、程度によって後遺障害の等級認定がされます。

別表第Ⅰ
第1級1号 
 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
 ①高度の四肢麻痺が認められるもの
 ②中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
 ③高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの
別表第Ⅰ
第2級1号  
 身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの
 ①高度の片麻痺が認められるもの
 ②中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を必要とするもの
別表第Ⅱ
第3級3号
 
 生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないもの
 中等度の四肢麻痺が認められるもの(第1級1号または第2級1号に該当するものを除く)
別表第Ⅱ
第5級2号 
 身体性機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの
 ①軽度の四肢麻痺が認められるもの
 ②中等度の片麻痺が認められるもの
 ③高度の単麻痺が認められるもの
別表第Ⅱ
第7級4号  
 身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの
 ①軽度の片麻痺が認められるもの
 ②中等度の単麻痺が認められるもの
別表第Ⅱ
第9級10号
 通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
 軽度の単麻痺が認められるもの
別表第Ⅱ
第12級13号
通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの
 運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すもの、また、運動障害が認められないもの、広範囲にわたる感覚障害が認められるもの

⑧非器質性精神障害

 うつ病やPTSD(外傷後ストレス障害)等、非器質性の精神障害については十分な治療の結果、完治には至らないものの、日常生活動作ができるようになり、症状が軽快している場合には症状固定として、後遺障害の認定申請をします。

6 醜状障害(頭部、顔面、頚部、上肢、下肢)

 平成22年5月27日、京都地裁は、労災事故で顔や頚部に大やけどを負った35歳の男性に対して、女性よりも後遺障害等級が低いのは男女平等を定めた憲法に違反するもの、との違憲判断を示しました。

 これを受けて、労災保険法では平成23年2月1日に、外貌の醜状障害に関する障害等級認定基準が改正され、自賠責法令は、平成23年5月2日に改正され、男女差はなくなりました。

 以前は、障害が同じ程度でも男性は女性よりも低い等級が認定されていました。

7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号 外貌に醜状を残すもの
14級4号 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級5号 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

・「外貌」とは、頭部、顔面部、頚部のように、上肢・下肢以外の日常露出する部分をいいます。

・「外貌における著しい醜状を残すもの」とは、原則として下記の場合に当てはまり、人目につく程度以上のものをいいます。

  1. 頭部にあっては、手のひら大(指の部分は含まない)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損
  2. 顔面部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は10円銅貨大以上の組織陥没
  3. 頚部にあっては、手のひら大以上の瘢痕

・「外貌に醜状を残すもの」とは、原則として下記の場合に当てはまります。

  1. 頭部にあっては、鶏卵大面異状の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
  2. 顔面部にあっては、10円銅貨大以上の瘢痕又は長さ3cm以上の線状痕
  3. 頚部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕

・「外貌に相当程度の醜状を残すもの」とは、原則として、顔面部の長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上のものをいいます。

・「外貌に醜状を残すもの」とは、原則として下記の場合に当てはまり、人目につく程度以上のものをいいます。

  1. 頭部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕又は頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損
  2. 顔面部にあっては、10円硬貨以上の瘢痕又は長さ3センチメートル以上の線状痕
  3. 頚部にあっては、鶏卵大面以上の瘢痕

医療技術の進展により、傷跡の程度を相当程度軽減できる障害は、新設された「第9級」で検討されます。

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