29.被害者参加制度

2008年12月、殺人や傷害事件などの被害者や遺族などが、刑事裁判の場で被告人に対して質問をするなど、直接裁判に参加できる「被害者参加制度」が導入されました。

一定の事件について被害者参加人は公判期日に出席し、証人尋問、被告人質問及び論告・求刑の意見を陳述することもできます。参加人は法廷で、検察官の横に座ります。

検察官への申出は、事件が裁判所に継続している間は、いつでもできます。

対象事件は、殺人、傷害など故意の犯罪で人を死傷させた罪のほか、強姦罪、業務上過失致死傷罪などです。

危険運転致死傷罪、自動車運転過失致死傷罪、業務上過失致死傷罪は、いずれも該当します。

被害者死亡、あるいは被害者の心身に重大な故障がある場合には、配偶者、法定代理人、子、孫などが参加できます。

被害者等から参加の申出を受けた検察官から通知を受けた裁判所が事件の性質などを考慮した上で、許可するかどうかを判断します。

貧困のため被害者参加弁護士を選定できない被害者参加人に対し、国選被害者参加弁護士制度も設けられました。この請求は、日本司法支援センター(法テラス)を経由してしなければなりません。

 

30.サンキュー事故

 

車等の運転時に、道を譲り合ったり、譲ってもらったことが要因で起きた事故のこと。

代表的な例としては、渋滞時の交差点で直進する自動車が、対向する右折車を先に行かせるために停止し、対向車が右折したところ、直進車の左側を走行してきたオートバイ等と衝突する事故があります。

 

31.代行運転中の事故

 

平成15年の改正道路交通法の施行によって、飲酒運転の罰則が強化されたことにより、代行運転の利用客は増加しています。

代行運転中に人身事故が生じた場合、基本的には代行運転者の責任になりますが、自動車の保有者も運行供用者責任を負います。対物事故においては依頼者が責任を負うことはほとんどありません。

運転代行業者は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の認可を受ける際に、運転代行業法で任意保険の加入が義務付けられています(毎年監査も行われます)。認定を受けている代行者の横には認定証が張られています。

運転代行受託保険は対人・対物賠償の他、客の車の修理費、客に対する慰謝料や治療費等が賠償されます。

ちなみに、代行運転手は二種免許保有者です。

 

32.飲酒運転の罰則

酒酔い運転 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
酒気帯び運転 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
呼気検査拒否 3ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金

※「酒酔い」とは、アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態を言います。 

■行政上の罰則

違反種別 点数 処分内容 欠格・停止期間
酒酔い運転 35点 免許取消 3年

酒気帯び運転

(呼気1中のアルコール濃度)

0.25mg以上 25点 免許取消 2年
0.15mg以上0.25mg未満 13点 免許取消 90日

※免許欠格期間の最長は10年です。

 

33.車検切れ

車検が切れの車で公道を走ることはできません。

車検切れの車を運行していて、事故に遭った場合、車検が切れていても自動車保険に加入していれば、保険は有効ですが、自賠責保険も同時に切れていることが多いです。

自賠責保険が切れていて損損害賠償義務が生じた場合、自賠責保険での賠償額に相当する金額を自己負担しなければなりません。

車検切れの車を運行する場合には、「仮ナンバー」を取得する必要があります。仮ナンバーの取得は、必要書類をそろえて、最寄の市町村役所で申請します。

無車検車運行は現行犯ですので、無車検車を所有者以外の人が運行した場合は、所有者の責任は問われません。

■車検切れ

 道路運送車両法第58条の1及び第108条の1 「6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」

■自賠責切れ

 自動車損害賠償保障法第5条及び第86条の3 「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」

 

34.人身事故の付加点数

事故の度合い 付加点数
専ら 専ら以外
死亡事故 20 13
治療期間3月以上の重症事故、または特定の後遺障害が伴う事故 13
治療期間30日以上3月未満の重症事故
治療期間15日以上30日未満の軽傷事故
治療期間15日未満の軽傷事故または建造物損壊にかかる交通事故

・「専ら」とは、交通事故が専ら当該違反行為をしたものの不注意によって発生したものである場合をいいます。

・負傷者が2名以上の場合は、最も重い負傷をおった人の治療機関となります。

・ひき逃げなど救護措置を怠った場合は23点です。

・物損事故の措置義務違反(あて逃げ)は5点です。



35.一定の病気等と運転免許

平成25年6月に交付された改正道路交通法によって、「一定の病気等」にかかっている運転者を対象とした制度がスタートしました。

「一定の病気等」とは、

①統合失調症(自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかにかかる能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く)

②てんかん(発作が再発するおそれがないもの、発作が再発しても意識障害及び運動障害がもたらされないものならびに発作が睡眠中に限り再発するものを除く)

③再発性の失神(脳全体の虚血により一過性の意識障害をもたらす病気であって、発作が再発するおそれがあるものをいう)

④無自覚性の低血糖症(人為的に血糖を調節することができるものを除く)

⑤そううつ病(そう病及びうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかにかかる能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く)

⑥重度の眠気の症状を呈する睡眠障害

⑦そのほか、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかにかかる能力を欠くことになるおそれがある症状を呈する病気

⑧認知症(介護保険法第5条の2に規定するもの)

⑨アルコール、麻薬、大麻、アヘン又は覚せい剤の中毒

 ※「一定の病気」とは上記の1〜8を指し、これに9を加えたものを「一定の病気等」と総称しています。

なお、一定の病気にかかっている者でも、自動車等の運転に支障を及ぼすおそれのある一定の症状を呈するものでなければ、免許の拒否または取消等の対象とはなりません。

運転免許の取得・更新時には病状の申告が求められ、虚偽申告した場合の罰則(1年以下の懲役又は30万円以下の罰金)が盛り込まれています。必要と判断された場合には、公安委員会から「質問表」を渡されることがあります。

質問の例
・病気を原因としてまたは原因は明らかではないが、意識を失ったことがあるかどうか
・病気を原因として発作的に身体の全部または一部の痙攣または麻痺を起こしたことがあるかどうか
・十分な睡眠時間を取っているにも関わらず、日中、活動するさなかに眠り込んでしまうことが週3回以上あるかどうか
・病気を理由として、医師から、免許の取得または運転を控えるよう助言を受けているかどうか

症状があるにも関わらず虚偽の回答をして免許を取得または更新した者は、1年以下の懲役または30万円以下の罰金刑が規定されています。

公安委員会は、交通事故を起こした運転者が一定の病気等に該当すると疑われる場合は、専門医の診断による取消処分を待たずに、免許の効力を3月を超えない範囲内で停止することができます。一定の病気等に該当しないことが明らかになった場合は処分が解除されます。

医師は、診察を受けた人が一定の病気等に罹患していると診断した場合、その人が免許を受けていることを知ったときは、その診察結果を公安委員会に届け出ることができます。この場合、刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定の例外となるよう法的整備がなされています。

一定の病気に該当することを理由に運転免許が取り消された場合、免許の取り消しから3年以内(欠格期間1年を除く)に免許を再取得できる状態になった場合は、再取得時の技能試験、学科試験は免除されます。

ちなみに、精神神経障害者の運転を制限する法律に対して、日本精神神経学会は猛反対しています。反対の理由は、法制度に医学的根拠が乏しく患者を不当に差別・制限しているというものです。精神障害と交通事故の因果関係を証明した研究報告はないそうです。診断を受けた人が運転をできなくなり、診断を受けない人は誰にも咎められることなく運転をしているということがあるとすればと考えると、嫌なこころもちがします。

 

36.無免許運転等の罰則の引き上げ等

●無免許運転の罰則

 無免許運転の罰則が、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」に引き上げられました。

 この罰則は無免許運転者本人だけでなく、無免許運転を命令したり容認した者、免許証の不正取得に対しても適応されます。

 無免許運転の違反点数は25点に引き上げられました。これにより無免許運転を行った場合、免許を取得できない「欠格期間」の基準が2年間となります。

●無免許運転幇助行為の罰則

 無免許運転をする恐れのあるものに対して、無免許運転を知りながら自動車等を提供した者については、自動車等の提供を受けた者が無免許運転をした場合には、無免許運転をしたものと同等の罰則を受けます。また、無免許運転と知りながら送迎等を依頼・同乗した場合には、同乗者も罰せられます(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)。

「無免許運転幇助行為」を行った場合、違反点数にかかわらず、欠格期間2年から4年の運転免許取消処分を受けることになります。

●自転車の制動装置にかかる検査及び応急措置命令等に関する規定

 警察官は、内閣府令で定める基準に適合するブレーキを備えていない自転車を停止させ、ブレーキを検査したり、ブレーキの整備や運転継続の禁止を命ずることができるようになりました。

検査拒否、応急措置命令違反等には「5万円以下の罰金」に処せられることも規定されています。

内閣府令では「前後輪の両方にブレーキを取り付ける」ことと、「安全な距離で停止できる制動性能を備える」ことの二つを満たすことを基準としています。

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