養子縁組と基礎控除

相続において、養子は実子と同等です。

基礎控除額を計算するときの相続人の中に養子が含まれる場合には、養子の人数に制限があります。

・被相続人に実の子供がいる場合は一人までです。

・被相続人に実の子供がいない場合は二人までです。

民法上の養子の数に制限はありませんが、相続税法上は、課税を公平に行うという趣旨から、法定相続人の養子の数に制限が加えられています。

被相続人の孫を養子とした場合は、相続税が2割加算されます。

なお、次に当てはまる養子は、実子として扱われますので、人数制限はなされません。

1.被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人

2.被相続人の配偶者の連れ子(実子)で被相続人の養子となっている人

3.被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人

養子縁組には、特別養子縁組と普通養子縁組があります。

普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係を作るという二重の親子関係となる縁組です。親子になる当事者の合意に基づいて届出をすることで成立します。戸籍上は養親との関係は「養子」と記載されます。

特別養子縁組とは、実父母及びその血族との親族関係を終了させて、完全に養い方の嫡出子として扱うもので、養子に出た者と実方の親族との間では、相互に扶養義務や相続権を有しないことになります。子が6歳未満で実親が養育できない場合に、家庭裁判所の審判によって成立します。戸籍上は養親との関係は「長男」などの実子と同じ記載がされますが、裁判確定に基づく入籍である旨は記載されます。

遺留分侵害額請求権

■遺言書と遺留分 

 遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人に最低限保障された遺産取得割合です。この権利は、遺言の内容にかかわらず侵すことはできません。

被相続人が生前贈与や遺言で特定の相続人や第三者へ財産が引き継がれることを防ぐ役割もあります。

遺言者の遺志はできるだけ実現させてあげたいが、遺された家族にも財産を受け取る権利があるとの考え方です。

あくまでも「遺留分を請求する権利」なので自ら主張しなければ実現されません

遺留分侵害額請求権

 相続人に保証された財産を請求することです。

遺留分には請求方法、請求できる期限、保証される遺留分の額、請求することができる者などが民法に記載されています。

なお、遺産分割協議において遺産分未満の価額の財産しか取得しないことに同意した場合は、遺留分が侵害されたことにはなりません。

遺留分侵害額請求権はあくまでも侵害額に相当する「金銭的な補償」を侵害者に求める権利に過ぎません。請求者は不動産の共有持分を請求することや不動産の処分禁止の仮処分を行うことはできません。

ただし、金銭で精算することが困難な場合、双方の合意があれば試算の移転により精算することも可能です。しかし、この場合は代物弁済によるものとして譲渡所得税が課税されることとなったため、注意が必要です。

遺留分侵害額請求を受けた人が、金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。

遺留分侵害額請求権は行使しなくてもかまいません。遺留分を侵害されているからといって相続人は必ず遺留分侵害額請求をしなければならないわけではありません。行使するかしないかは、相続人の自由な判断に任されています。

遺留分

 ・直系尊属のみが相続人の場合は1/3

 ・それ以外の場合は1/2

 ・兄弟姉妹には遺留分がない

遺留分侵害となる行為

①遺贈

 相続人の遺留分を侵害する程度の遺贈が行われていた場合には、遺留分侵害額請求の対象になります。

●遺留分の割合

 直系尊属のみが相続人法定相続分の3分の1で、それ以外の場合は2分の1です。

他の相続人が相続分や遺留分を放棄しても、遺留分が増えることはありません。

請求範囲

 遺留分侵害額請求権の対象となる生前贈与は、相続開始前10年間に行われたものに限定されます。

遺留分が未確定の場合の相続税の申告

 相続税の申告時に遺留分侵害請求の基づく金銭の額が確定していない場合には、遺留分侵害額請求がなかったものとして、各人の相続税の課税価格及び相続税額を計算し申告することになります。

●遺留分の時効と除斥期間

 時効:相続開始及び遺留分侵害の遺言・贈与があったことを知った日から1年以内

 除斥期間:相続開始から10年間

遺留分が認められない「相続欠格者」

 社会感情から見て相続させることがふさわしくない者から、相続の資格を奪うというのが「相続欠格」という制度です。

遺贈を受けることもできなくなりますが、欠格者の子は代襲相続が可能になります。

【相続欠格事由】

①被相続人や同順位以上の人を殺害し有罪となった場合 

 相続欠格となるのは、相続人が故意に被相続人を殺した場合又は殺そうとした場合であり、過失による致死の場合には相当しません。

②被相続人が殺されたことを知りながら、告発や告訴をしなかった場合

③脅迫等により遺言書が自分に有利になるように作成・修正させる行為をした場合

④遺言書の破棄や隠匿、偽造があった場合

 こういった行為は、相続人が不当な利益を得る目的がある場合に限り、相続欠格の事由に該当すると判示されています。

⑤相続廃除となった場合

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小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例

相続税を納付することによって、居住や事業を継続することができなくなってしまうという事態をさけるために、自宅や事業用の敷地の評価について、一定の要件のもとで土地の評価を80%(または50%)減額が認められているものです。

小規模宅地の特例が使える土地は以下の3種類です。

1.特定居住用宅地等(住宅用地として使っている土地)

2.貸付事業用宅地等(人に貸している土地)

3.特定事業用宅地等(事業で使っている土地)

相続開始直前の状況 取得者 継続要件(申告期限まで) 減額割合 限度面積
所有 居住又は事業
 被相続人の居住用     配偶者  80%  330㎡
 同居親族  継続 継続  80%  330㎡
 別居親族  継続  80%  330%
 被相続人の事業用  親族  継続 継続  80%  400㎡
 被相続人の貸付用  親族  継続 継続  50%  200㎡
 同族会社への貸付用 役員である親族  継続 継続  80%  400㎡

小規模宅地等の特例「特定居住用宅地等」が受けられる場合

1.被相続人と同居している配偶者がその土地を取得した場合

2.被相続人と同居している親族がその土地を取得した場合で、相続税の申告期限までその土地を保有し、かつ、居住している場合

3.被相続人と同居していない親族が、その土地を取得した場合で、被相続人に配偶者や同居していた親族がおらず、かつ、相続開始前3年以内にその者またはその配偶者が所有する家屋に居住しておらず、かつ、その土地を相続税の申告期限まで保有している場合(相続開始の時に日本国内に住所がなく、かつ、日本国籍を有していない人は除かれます)

4.被相続人が介護医療院に入院したことにより、被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等も、小規模宅地等の特例の対象に含められます。

■貸付事業用宅地等(準事業)

小規模宅地等の特例の対象となる宅地等は、建物等の敷地となっている必要があります。したがって、構築物等の施設のない駐車場、いわゆる青空駐車場は特例の対象にはなりません。

更地の状態で駐車場事業者に貸付をし、借り受けた事業者が設置した車止めや精算機などの設備及びアスファルト舗装等が構築物として認められれば、貸付事業用宅地として特例が受けられます。

砂利敷き駐車場の砂利も構築物に該当する場合もあります。ただし、砂利の量が少なかったり、砂利が埋没して地面が露出した状態の場合は、構築物とみなされません。ケースバイケースです。

小規模宅地等の特例は、不動産の貸付を相当の対価を得て継続的に行われているものを対象としていますので、使用貸借の場合はその対象とはなりません。

貸付事業用の土地(アパート、駐車場、自転車駐輪場等)については200㎡まで50%減額になります。

相続開始前3年以内に貸し付け事業用の用に供された宅地は小規模宅地等特例の対象外になりました(平成30年度税制改正)。

元々、「事業的規模」で不動産賃貸業を営んでいた人が、相続開始前3年以内に賃貸用不動産を購入してもその土地は小規模宅地等の評価減の対象です。

■特定事業用宅地等

特定事業用宅地として特例が受けられる要件は次のものになります。不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業および準事業は含まれません。

1.被相続人が事業の用に供していた土地で相続人が事業を引き継ぎ、申告期限まで営業し、かつその宅地を所有する場合

2.被相続人と生計を一にする親族が事業の用に供していた宅地で、その親族が事業を相続開始前から申告期限まで引き続き営業し、その宅地を所有する場合

要件に適合すれば、400㎡まで80%減額になります。

特定同族会社事業用宅地等

特定同族会社の事業(不動産貸付事業、駐車場業、自転車駐車場及び準事業は含まれません)の用に供されている宅地等で、その法人の役員である親族が取得した場合には、400㎡まで80%減額になります。

適用の要件

1.相続開始の直前まで、

2.特定同族会社が事業の用に供されていた宅地等で、

3.相続開始時から申告期限において、当該被相続人の親族(申告期限に同族会社の役員であることが必要)が、

4.申告期限までその事業を継続しており、

5.その土地を申告期限まで所有している場合

特定郵便局舎用宅地等

特定郵便局舎用宅地等とは、郵政事業庁設置法第5条に規定する郵便局で、国が設置するもの以外のもの(特定郵便局)の用に供されている建物の敷地とされている宅地等をいいます。

次の要件を満たした場合には、宅地等の地積のうち400㎡までの部分について相続税評価額を80%減にできます。

1.郵政民営化法の施行日(平成19年10月1日)前から日本郵政公社に貸し付けていた一定の建物の敷地であり、当該賃貸借を承継した郵便局株式会社に引き続き貸し付けているもの。

2.郵便局株式会社が相続開始後5年以上、その宅地等を引き続き借り受け、郵便局舎の用に供することについて証明がなされたものであること。

3.この特例の規定を既に受けていないこと。

民営化後の新たな賃貸借契約からは80%評価減にはなりません。

対象となる小規模宅地が複数ある場合は、複数の土地の適用が可能ですが、適用面積については下記の制限があります。

特定居住用宅地(330㎡まで)特定事業用宅地(400㎡まで)は併用可能

 どの宅地から小規模宅地等の適用を受けていくかで評価額も税金も変わってきますので、検討が必要になります。

・貸付事業用宅地と他の種類の小規模宅地は併用不可

二世帯住宅については、建物内部で行き来ができない場合などでも同居とみなされますが、建物が区分登記されている場合には規定の適用を受けることができません。

被相続人の生前に相続時精算課税による贈与によって取得したと地については、小規模宅地の適用を受けることはできません。

被相続人が老人ホーム等に入居中に死亡した場合

次の状況が客観的に認められれば特例が適用されます。

1.相続開始時点において介護保険法に規定する要介護認定または要支援認定を受けていた被相続人が、老人ホーム等へ入所していたこと。

2.その建物を被相続人等以外の者の居住の用に供した事実がないこと(同一生計親族については問題ありません)。

3.下記の住居または施設に入居していたこと

 ・認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居(老人福祉法第5条の2第6項)

 ・養護老人ホーム(老人福祉法第20条の2)

 ・特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5)

 ・軽費老人ホーム(老人福祉法第20条の6)

 ・有料老人ホーム(老人福祉法第29条第1項)

 ・介護老人保健施設(介護保険法第8条第27項)

 ・サービス付き高齢者向け住宅(上記の有料老人ホームを除く、高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項)

 ・障害者支援施設・共同生活援助を行う住居(障害者総合支援法第5条第11項、15項)

特例の適用を受けるためには、相続税の申告書を提出する必要があります。相続税が生じなかった場合でも、この特例を受けた結果、納税額がなくなったという場合には、申告書を提出する必要があります。

非課税財産と債務控除

非課税財産と債務控除

○非課税財産

非課税財産(相続税がからない財産)の主なものは次のとおりです。

①墓地、霊廟、墓石、墓碑、仏壇、仏具、神棚等。

 ただし、骨董的価値が有るものなど投資の対象となるものや商品は相続税がかかります。

②死亡保険金

 500万円×法定相続人の数

③死亡退職金

 500万円×法定相続人の数

④弔慰金、花輪代

 以下の範囲であれば非課税になります。

 ・業務上の死亡は賞与以外の普通給与(ボーナスを除いた給与)の3年分相当額まで

 ・業務外の死亡は普通給与の6か月分相当額まで

 非課税枠を超えた金額は退職金手当て等として相続税の対象となります。

④公益事業用財産

 公益事業を行う人が得た財産で、公益事業に使うことが確実なもの。

⑤国等に寄付をした財産

○債務控除

 相続開始時における借入金残高(団体信用生命保険付のものを除く)、未払金(被相続人が生前に購入した墓の未払金など非課税財産に関する債務は、遺産総額から差し引くことはできません)、税金、被相続人の未払い医療費、預かり金などの債務のほか、通夜や葬儀の費用は遺産総額より控除されます。このことを債務控除といいます。

債務控除は、被相続人が死亡した時にあった債務で確実と認められるものです。

香典返し、墓石の購入費、初七日や四十九日の法事に要した費用などは控除することはできません。

生命保険金

生命保険金

生命保険金については、生命保険契約での受取人とされた者が生命保険金請求権を取得し、相続財産とはなりません。受取人固有の財産となるものと解されています。したがって、生命保険金は遺産分割の対象ともなりません。

生命保険金の受取人を「相続人」と指定されている場合は、相続人各自が保険金請求権を取得します。

相続人の中に相続放棄をした人がいても、その人の保険金請求権には影響がありません。死亡保険金は相続によって受け取るのではなく、保険契約に基づき受け取るものとする考え方です。

ただし、受取人が被相続人自身となっている場合には、被相続人の「生命保険金を受け取る権利」を相続するわけですから、相続放棄をすれば死亡保険金を受け取ることはできません。

保険金受取人が相続人の1人である場合、保険金額を特別受益財産として相続財産に加算するという判例(※)は多数あります。

したがって、相続税の対象にはなります。

※「保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると、保険金受取人である相続人その他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により、当該死亡保険金請求権は特別受益に持戻しの対象となると解するのが相当である。」

■死亡保険金の非課税枠

 500万円×法定相続人の数

 ※「法定相続人の数」は、相続の放棄をした人がいる場合であっても、その放棄がないとした場合の相続人の数をいいます。

事故などの損害賠償金と相続税

交通事故などで被相続人が死亡した場合には、生命保険金や損害賠償金が支払われます。このケースでの「損害賠償金」「慰謝料」「逸失利益の補償金」は、遺族に対して支払われるものであって相続財産に該当しないことから、相続税の課税対象にはなりません。

非相続人が損害賠償金を受け取ることになっていたのに、死亡してしまったケースでは、その損害賠償金は相続財産となり、相続税の対象となります。

著作権

著作権の存続期間は、著作物が創作された日から著作者の死後50年とされています。

相続財産の寄付

相続財産の寄付

相続した財産そのものを、相続税の申告書の提出期限までに国・地方公共団体又は特定の公益法人等に寄付した場合には、相続税はかかりません。

相続財産を金銭に変換した場合には、課税対象になります。金銭ではない寄付の例として、絵画、骨董品、古書等があります。

主な要件

①寄付した財産は、相続や遺贈によってもらった財産(生命保険金や退職手当金も含まれます)であること。

②相続財産を相続税の申告期限までに寄付すること。

③寄付した先が国や地方公共団体又は教育や科学の振興などに貢献することが著しいと認められる一定の公益法人であること。

④公益法人は既に設立されていること。

⑤寄付を受けた公益法人は、その財産を2年以内に公益事業の用に供すること。

⑥寄付により寄付者またはその親族等の相続税の負担が不当に減少しないこと、

準確定申告

準確定申告

 確定申告書を提出する義務のある人が死亡した場合には、亡くなった人の1月1日から死亡日までの所得税の申告(準確定申告)をしなければなりません。

所得金額と税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内(4ヶ月を過ぎてしまった場合には、延滞税が発生します)申告と納税をしなければなりません。

この所得税を相続人が納税した場合、その納税額が相続税の課税対象から減額できます。

申告書の提出先は、被相続人の住所地を管轄する税務署です。

準確定申告書は、「死亡した者の所得税の確定申告書付表」を添付して提出することになっています。この付表には、各相続人の氏名、住所、被相続人との続柄、相続分、各相続人の納付税額または還付金等を記載します。

相続人が2人以上いる場合は、各相続人の連署により準確定申告書を提出するか、もしくは、他の相続人の氏名を付記して各相続人が別々に準確定申告をすることもできます。この場合、当該申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければなりません。

相続人のうちに、相続放棄をした人がいる場合、相続放棄をした人は初めから相続人にならなかったものとみなされますので、相続放棄者以外の相続人が準確定申告書を提出することになります。

各相続人の指定相続分が確定していない場合には、法定相続分により按分した税額を各相続人が納税します。

準確定申告による還付金は、相続財産となります。

申告期限に準確定申告を行えなかった場合や、無申告の場合はペナルティーとして、罰則の税金が課されます。

●主だった所得控除の適用基準

 ・医療費控除

 死亡の日までに被相続人が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできません。

相続開始の日以後に支払った入院費等は、相続税の計算上債務として控除することができます。所得税の計算上は、その入院費等を負担していた人が被相続人と生計をいつにしていたのであれば、その人の医療費控除の対象になります。

ただし、支払った人は、医療費控除の対象になります。

 ・社会保険料、生命保険料控除

  生命保険料の控除額は、一般の生命保険料の控除額(最高50,000円)と、個人年金保険料の控除額(最高50,000円)と、介護医療保険料の控除額の合計額です。最高12万円控除できます。保険料が一契約9,000円を超える一般の生命保険契約や個人年金保険契約については証明書が必要になります。生命保険会社等に請求してください。

 国民年金保険料については、社会保険料控除証明書が必要となりますので、社会保険庁に請求します。

 ・小規模企業共済等掛金控除

  死亡した時までに支払った小規模企業共済等掛金の全額が所得控除できます。

  掛金の払込証明書は、独立行政法人中小企業基盤整備機構に請求します。

 ・配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除

  準確定申告で被相続人の扶養とされた配偶者や親族が、12月31日時点で他の納税者の扶養控除の対象となっている場合は、その納税者の控除対象となります。

 ・寄付金控除

 ・雑損控除

 ・住宅ローン控除

  亡くなった日現在の借入金残高について受けられます。ただし、団体信用生命保険に加入していた場合は、保険金によって借入金が返済されるため、適用はありません。

 ・地震保険控除

  地震保険料控除の対象となる損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料等を支払った場合には、その保険料等の額(最高50,000円)が所得控除できます。

  控除を受けるためには、証明書が必要になりますので、保険会社等に請求します。

●準確定申告をすべき人

 ・個人で事業を行っていた人(但し、38万円以下の所得の場合確定申告は不要)

 ・給与所得が2000万円を超えていた人

 ・給与所得が2000万円を超えていなくても、副業の所得が20万円を超えていた人

 ・不動産所得があった人

 ・譲渡所得や一時所得があった人

 ・生命保険や損害保険の一時金や満期金を受け取った人

 ・給与から所得税を源泉徴収していなかった人

 ・多額の医療費を支払っていて、確定申告をすることにより所得税の還付を受けられる人

 ・2箇所以上の会社から給与をもらっていた人

 ・不動産を売却した人

 ・同族会社の役員等で、会社から貸付金利子や賃借料を受け取っていた人

生前被相続人が確定申告を行い税金を納めていた場合には、準確定申告が必要となる可能性は高いと言えます。

国民年金、厚生年金、共済年金による収入が400万円以下で、かつ年金以外の所得が20万円以下の方は準確定申告をする必要はありません。

●申告に必要なもの

●手続き窓口:被相続人の住所地を管轄する税務署

●「生計を一にする」とは 

  必ずしも同居を要件とするものではないと考えられていますので、勤務・療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費・療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

 税法の規定では、「親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする」とあります。

夫婦それぞれの収入で別々に生活をしている場合なども同様に、「生計を一にする配偶者」とみなされます。

収入が給与・年金だけだった人は、1年分の収入を見越して源泉徴収されていますので、準確定申告をすれば還付される可能性があります。5年以内に行う必要があります。

相続税

相続税

相続税の基礎控除額

 3,000万円+600万円×法定相続人の数

 ●生命保険金や死亡退職金の非課税限度額

  それぞれ500万円×法定相続人の数

■相続税率と控除額

各法定相続人の取得金額 税 率 控除額
 1,000万円以下  10%  ー 
 1,000万円超〜3,000万円以下  15%  50万円 
 3,000万円超〜5,000万円以下  20% 200万円 
 5,000万円超〜1億円以下  30% 700万円 
 1億円超〜2億円以下  40% 1,700万円 
 2億円超〜3億円以下  45% 3,700万円 
 3億円超〜6億円以下  50% 4,200万円 
 6億円超  55% 7,200万円 

相続税の申告に必要な書類

相続税の申告に必要な書類

 相続税の申告は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に申告書を提出します。

 相続によって取得した財産及び相続時精算課税の適用を受ける財産の額の合計額が、基礎控除額以下の時は、相続税の申告も納税も必要ありません。ただし、配偶者控除など各種の税額控除や小規模宅地等の評価減の特例は、申告することで初めて適用になります。

■必要書類

 ①財産関係

種類 必要書類 取得先等
相続財産明細    
土地     全部事項証明書 法務局
固定資産税評価証明書(相続登記に必要)  市役所
地籍測量図又は公図の写し 法務局
住宅地図  
賃貸借契約書(貸地・借地の場合)  
小作に付されている旨の農業委員会の証明書 農業委員会
名寄帳  
建物 全部事項証明書 法務局
固定資産税評価証明書 市役所
間取り図  
賃貸借契約書  
相続時精算課税の適用財産 明細書  
現金預貯金    預金残高証明書 各金融機関
既経過利息計算書(定期預金など) 各金融機関
被相続人の過去の通帳等のコピー  
家族全員の過去の通帳等のコピー  
上場株式 株券のコピー(表・裏)  
証券会社の預り証明書  
過去5年間の取引明細書(家族全員) 証券会社
配当金支払通知書  
名義変更関係書類  
非上場株式   被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍の謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの) 市役所
遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し  
相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの) 市役所
経済産業大臣の認定書・認定申請書の写し 法人
贈与税の申告書  
会社の登記事項証明書 法務局
会社の定款の写し 法人
会社の貸借対照表及び損益計算書 法人
直前3期の法人税の申告書一式 法人
直前期末における法人所有の定期性預金  
直近5年間の株主等名簿 法人
土地の賃貸借契約書 法人
その他特例の適用要件を確認する書類 法人
担保提供関係書類 法人
贈与の記録 相続人の贈与税の申告書の控え(過去6年分)  
有価証券 残高証明書、保護預り証  
顧客勘定元帳 証券会社
生命保険金等   支払通知書 各生命保険会社
保険証書(生命保険、損害保険)  
満期返戻する火災保険等の保険証書  
死亡退職金 支払い明細、会社の退職給与規定 勤務先
受益証券 信託の受益証券の写し  
貸付金、前払金 金銭消費貸借契約書、借用書  
ゴルフ会員権 預託金証書または株券のコピー  
リゾート会員権 預託金証書、証券の写し  
貴金属、書画、骨董等    
家財 特記すべきものの明細  
立木 立木証明書、森林施業計画書等  

②債務関係

種類 必要添付書類 取得先
借入金  金銭消費貸借契約書  
借入先金融機関の残高証明書 各金融機関
返済予定表  
クレジットカードローンなどの残債のわかる書類 各クレジット会社
未払金 請求書、クレジット・リースの明細 病院等
未払い年金・健康保険料  
未払公共料金等 通帳
敷金 賃貸借契約書  
葬儀費用 明細書、領収書、香典帳、諸経費控帳、領収書のないものについてのメモ  
税金の滞納 課税通知書や納付書  

③身分関係

添付書類 申請先
遺言書(公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言)  
遺産分割協議書  
被相続人の除籍謄本 市役所
被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで) 市役所
被相続人の戸籍の附票または住民票(本籍記載) 市役所
被相続人の住民票除票または戸籍の附票 市役所
相続人全員の戸籍謄本 各本籍地の市町村役場
相続人全員の住民票(本籍地・家族全員の記載があるもの) 各相続人の住所地の市町村役場
相続人の戸籍の附票 市役所
相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書作成時) 市役所
特別代理人の選任の審判の証明書 家庭裁判所
後見人の選任の審判の証明書 家庭裁判所
成年後見登記事項証明書 法務局
被相続人の経歴書被相続人の死亡診断書のコピー  
相続人全員の職業・自宅電話番号  

④各相続人

必要添付書類 明細
印鑑証明書(相続人全員) 遺産分割協議書に押印したもの 各1
戸籍謄本    
住民票 家族全員の記載があり、省略のしていないもの 1部

⑤相続登記に必要な書類

必要書類 明 細
除籍謄本 被相続人のもの 1通
改正原戸籍謄本 被相続人出生時まで遡る 各1通
住民票の除票(本籍入り) 被相続人のもの 1通
戸籍謄本 各相続人全員のもの 各1通
住民票 各相続人全員のもの 各1通
印鑑証明書 各相続人全員のもの 各1通
遺産分割協議書 または遺言書 1通
全部事項証明書 相続不動産のもの 各1通
固定資産税評価証明書 相続不動産のもの 各1通
実印 相続する人のもの 各1本
登記費用    

⑥その他

特別代理人選任の審判の証明書 相続人に未成年者がいる場合
相続放棄の申述受理の証明書 相続放棄をした相続人がいる場合
申告後3年以内の分割見込み書 申告期限までに遺産分割ができない場合に必要
生前贈与財産の相続財産への加算 相続開始前3年間の預貯金及び有価証券の取引明細書等
相続開始前3年間の被相続人の所得税の確定申告書の控え  
小規模宅地の特例に必要な書類(A) ①相続税の申告書
②相続の開始の日から10日を経過した日以後(死亡事項が記載された戸籍謄本作成に係る事務処理の時間的余裕を考慮)に作成された被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本
③遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
④相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
⑤遺産分割協議の分割見込み書(申告期限内に相続する土地の遺産分割協議が間に合わなかった場合は、申告期限後3年以内の遺産分割協議の分割見込み書の提出が求められる)
⑥住民票の写し(被相続人と特例の適用を受けようとする相続人が、同一の住所地で生活をしていたということを証明するため)
⑦相続開始日前3年以内にその取得者が居住していた家屋が、自己またはその配偶者が所有する家屋以外の家屋であることを証する書類
特定居住用宅地等の場合(同居していない親族が取得した場合にはイ〜ハの書類を、同居している親族が取得した場合にはイの書類を提出する。なお、配偶者が取得した場合にはイ〜ハの書類の提出は不要) 上記①〜④の書類
イ.住民票の写し(相続の開始の日以後に作成されたものであり、かつ小規模宅地等の特例要件でである被相続人の親族に係るものに限る)
ロ.戸籍の附票の写し(相続の開始の日以後に作成されたものに限る)
ハ.相続開始前3年以内に居住していた家屋が自己または自己の配偶者の所有する家屋以外の家屋である旨を証する書類
配遇者の税額低減の適用を受ける場合 配偶者控除の適用を受ける旨および控除額の計算に関する明細を記載した書類
被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本
遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割ができない場合)
農地等の相続税の納税猶予の特例の適用を受ける場合     被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し
各相続人の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
相続税の納税猶予に関する適格者証明書
担保提供関係書類
準確定申告のために必要な資料 源泉徴収票・収入明細・領収書・保険等控除証明書
固定資産税・住民税・事業税の納付書 被相続人の死亡の時点で収めなければならないことが確定している公租公課は、相続財産から控除される
自動車を相続する場合 車検証のコピー
障害者控除の適用を受ける場合 障害者手帳のコピー
法人の代表者であった場合 法人税申告書・決算書、地方税・消費税申告書

相続税の申告期限

相続税の申告書は、原則として相続の開始があったことを知った日(一般的には非相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。

相続税は相続人1人1人が実際に取得した財産に対して相続税が算定されるため、申告期限(10ヶ月)までに遺産分割協議が相続人間で整っていることが前提になります。

ただし、遺産分割が確定していなくても法定相続分で申告・納税することが必要です。

延納制度

延納制度

 相続した財産に現金が少なく不動産が多い場合など、申告期限内に一括納付ができないときに、相続税を分割して(1年に1回)支払うのが「延納制度」です。

延納期間中は利子税(相続財産に不動産が占める割合や延納期間によって、年3.6%〜年6.0%)がかかります。昨今のような低金利時代においては、特例利率が適用されます。

相続税の付帯する加算税、延滞税及び連対納付責任額については、延納の対象にはなりません。

延納できる期間は原則として5年以内ですが、相続財産の中で不動産等(不動産、立木、借地権、同族会社の株式等)の占める割合が大きい場合は、最高20年まで認められます。

延納ができる要件

 ・相続税が10万円を超えること

 ・納期限までに金銭で納付することが困難であること

 ・相続税の納付期限までに、「金銭納付を困難とする理由書」に金額を計算の上、「延納申請書」と共に提出し、担保を提供する(延納税額が100万円未満で、なおかつ、延納期間が3年以下の場合は、担保は必要ありません。

延納することができる金額(延納許可限度額)

 延納許可限度額は、以下の計算式によります。

 延納許可限度額=①納付すべき相続税額−②現金納付額

 ②現金納付額(納期限に金銭で納付することが可能な金額)

  下記のa−b−cで計算します。

  a 納期限において有する財産

   以下の3つの資産を合計したもの

   ・現金

   ・預貯金

   ・その他の換価が容易な財産の価額に相当する金額

    (納税者固有のものも含みます)

  b 申請者および生計を一にする配偶者その他の親族の3ヶ月分の生活費

   「生活費」として認められる1ヶ月の金額は、相続人が10万円、配偶者その他の親族は4万5千円です。

  c 申請者の事業の継続のために当面(1ヶ月分)必要な運転資金(経費等)の額

  上記計算の根拠となった資料等の写しを「金銭納付を困難とする理由書」に添付します。

■延納の許可までの審査期間

 延納申請書が提出されると税務署長は、要件の調査結果に基づいて、延納申請期限から3ヶ月以内に許可または却下されます。なお、延納担保などの状況によっては、許可または却下までの期間を最長で6ヶ月まで延長される場合があります。

■延納の担保

 以下のものに限られています。

 ・国際及び地方債

 ・社債、その他の有価証券で税務署長が確実と認めるもの

 ・土地

 ・建物、立木、登記された船舶等で保険に付したもの

  ※登記された船舶等:登録を受けた回転翼航空機(ヘリコプター、複合ヘリコプター、オートジャロ)、登録を受けた自動車、登記を受けた建設機械を含みます。

  ※建物の保険には、共済を含みますが、月掛の保険や共済は含みません。

  ※建物が火災等で消滅した場合には、税務署の速やかに連絡をするる必要があります。

 ・鉄道財団、工場財団、鉱業財団などの財団

 ・税務署長が確実と認める保証人の保証

 担保に提供することができるのは、相続により取得した財産だけでなく、相続人の固有の財産、第三者または法定代理人等の同意が得られている財産であれば担保として提供することができます。

 延納申請者の提供する担保を、税務署長が適当でないと認めるときは、変更を求めることになります。

■延納の担保に不適格な財産

 1.不動産

  ・担保権が設定されていたり、処分が禁止されている不動産

  ・売却できる見込みがない不動産

  ・抵当権を設定できない不動産

  ・権利の帰属について争いがある不動産

  ・共有不動産で共有者全員から担保も承諾が得られないもの

  ・違法建築、土地の違法利用のため建物除去命令等がされているもの

  ・境界が明らかでない土地

  ・隣接する不動産の所有者その他の者との争訟によらなければ通常の使用ができないと見込まれる不動産

  ・他の土地に囲まれて公道に通じない土地で、通行券の内容が明確でないもの

  ・借地権の目的となっている土地で、当該借地権を有するものが不明であることその他これに類する事情があるもの

  ・他の不動産(不動産の上に存する権利を含む)と社会通念上一体として利用されている不動産若しくは利用されるべき不動産または2以上のものの共有に属する不動産

  ・耐用年数を経過している建物

  ・敷金の返還に係る債務その他の債務を国が負担することとなる不動産

  ・その管理または処分を行うために要する費用の額が収納価額と比較して過大となると見込まれる不動産

  ・公の秩序または善良の風俗を害するおそれのある目的に使用されている不動産その他社会通念上適切でないと認められる目的に使用されている不動産

  ・引渡しに際して通常必要とされる行為がされていない不動産

  ・地上権、永小作権、賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利が設定されている不動産で次に掲げるものがその権利を有しているもの

   ①暴力団員でなくなった日から5年を経過しないもの(以下「暴力団員等」という)

   ②暴力団員等によりその事業活動を支配されている者

   ③法人で暴力団員等を役員とするもの

 2.株式

  ・譲渡に関して金融商品取引法その他の法令の規定により一定の手続きが定められている株式で、当該手続が取られていないもの

  ・譲渡制限株式

  ・質権その他の担保権の目的となっている株式

  ・共有に属するもの(共有者全員がその株式について物納の許可を申請する場合を除きます)

  ・暴力団員等によりその事業活動を支配されている株式会社または暴力団員等を役員とする株式会社が発行した株式

 3.上記以外の財産

  ・遺族国庫債券(※)などの国債

   ※国債は一般的に担保になりますが、遺族国庫債券等一部の国債には担保制限があります。

  ・共同相続人の間で所有権の争いがあるもの

■延納のメリット・デメリット

 1.メリット

  ・相続税の納付を年賦で納付することができて、一時に多額の相続税を払わずに済む

  ・不動産を売らないでおくことができる

 2.デメリット

  ・延納期間中は延納税額に利子税(※)がかかる

■延納期間と利子税

 延納期間中は延納税額に対して利子税がかかります。

 延納期間は原則5年ですが、相続財産に占める不動産の価格の割合によって5年、10年、15年、20年に区分されます。

 延納の利子税の割合は、分納の期間の開始の日の属する月の2ヶ月前の月の末日を経過する時の日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合が年7.3%に満たない場合は、次の算式により計算される割合(特例割合)が適用されます。

 利子税の割合×(日銀が定める基準割引率+4.0%)/7.3%

             (0.1%未満の端数切捨て)

相続財産のうちの不動産の割合 区 分 延納期間(最高) 延納利子税割合(年割合) 特例割合(年割合)
75%以上 ①動産等に係る延納相続税額  10年  5.4%  1.3%
②不動産等にかかる延納相続税額(③を除く)   20年  3.6%  0.8%
③計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木にかかる延納相続税額  1.2%  0.2%
50%以上75%未満 ④動産等に係る延納相続税額  10年  5.4%  1.3%
⑤不動産等に係る延納相続税額 (⑥を除く)  15年  3.6%  0.8%
⑥計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木にかかる延納相続税額  20年  1.2%  0.2%
50%未満 ⑦一般の延納相続税額(⑧⑨⑩を除く)  5年  6.0%  1.4%
⑧立木の割合が30%を超える場合の立木にかかる延納相続税額(⑩を除く)  4.8%  1.1%
⑨特別緑地保全地区等内の土地に係る延納相続税額  4.2%  1.0%
⑩計画伐採立木の割合が20%以上の場合の計画伐採立木にかかる延納相続税額  1.2%  0.2%

※平成28年1月1日現在の「延納特例基準割合1.8%」で計算されています(国税庁ホームページより)。「援農特例基準割合」の変更があった場合には、上の表の「特例割合」も変わります。

※延納税額が150万円未満の場合(上記②、③及び⑥に該当する場合は200万円)は、「延納税額÷10万円」で算出される数字が延納期間となります。

延納利息が多額になる場合は、金融機関での借り換えも検討すべきです。

■特定物納制度(延納から物納への変更)

 延納の許可を受けた相続税について、その後の資力の変化等により、に延納条件に基づいて納付することが困難となった場合には、申告期限から10年以内で支払い期限が過ぎていない分に限り、分納期限が未到来の税額部分について、延納から物納への変更を行うことができます。

財産の収納価額は特定物納申請時点のものとなります。特定物納許可後には物納の撤回はできません。

申請は、特定物納申請書と、物納手続き関係書類を所轄の税務署長に提出することで行われ、3ヶ月以内に可否が判断されます。

特定物納が許可された場合、物納許可税額に対して、特定物納申請日前の分納期限の翌日から特定物納許可に係る納付があったものとされる日までの期間について、当初の延納条件による利子税を納付する必要があります。

物納制度と特定物納制度の相違点

申告期限の延長

申告期限の延長

 相続税の申告期限延長は原則認められていません。例外として特殊な事情がある場合のみ、税務署に申告をして最長2ヶ月の期間延長が可能になります。

・災害その他やむをえない理由があるときは、その理由がやんだ日から2ヶ月の範囲内で延長が可能

・認知、相続人の廃除、相続の回復、相続人が失踪宣告を受けたり、失踪の宣告が解除されたことによって相続人の人数が変化した場合、その他の事情により相続人に異動が生じたとき

・遺贈にかかる遺言書が発見されたときや、遺贈の放棄があったとき

・遺留分の減殺請求により返還、弁償額が確定したとき

・すでに生まれたとみなされる胎児が生まれたとき

・相続等により取得した財産の権利の帰属に対する訴えの判決があったとき

・相続開始後に認知された人の価額の支払い請求権の規定による請求があったことにより弁済すべき額が確定したとき

・遺贈の放棄があったことや死亡退職金等の支給が確定した場合等

これらの事由が生じた日後1ヶ月以内に申告期限が到来する時は、2か月の範囲内で申告期限の延長を申請することができます。

10ヶ月以内に遺産分割が間に合わない場合

10ヶ月以内に遺産分割が間に合わない場合

分割が決まっていない財産を共同相続人が民法の規定による法定相続分により取得したものと仮定して相続税を計算し、納税します。後日、分割協議が整った時に、新しい分割に応じた相続税を各人ごとに計算し、既払い分との過不足を精算します

■未分割申告の注意点

 未分割の状態で相続税申告をした場合は、下記の規定が一旦適用できなくなってしまいます。その後、遺産分割ができた時に、「更正の請求」をすることにより、特例の適用を受けることが出来ます。

 ①小規模宅地等についての課税価格の特例

 ②配偶者の税額軽減の特例

 ③物納

  共有財産の場合、一部の相続人だけで物納申請することはできません。  

 申告期限後に分割等によって財産を取得できるようになったとしても改めて物納を申請することはできません。また、延納しているうちに金銭で納税することが困難になった場合には、申告期限から10年以内であらば困難とする金額の範囲内で物納を申請することができます。

 ④農地等に関わる相続税の納税猶予

 ⑤公益法人に対する寄付

 ⑥相続財産を売却した場合の取得費加算

 ⑦非上場株式などの納税猶予

 ⑧特定計画山林の特例

 ⑨相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例

  相続した財産(土地・建物・株式など)を相続税の申告期限の翌日以後3年10ヶ月以内に譲渡した場合(契約が完了していれば、実際の引渡しが期限外でも適用可)、当該資産の計算上、その資産に課された相続税額を取得費に加算することができますが、3年10ヶ月以内に分割されていない場合には適用を受けることができません。

 取得費加算額=相続税額×譲渡した財産の相続税評価額÷相続した財産の合計額(債務控除前)

 この特例により取得費に加算される相続税額が、譲渡収入から取得費および譲渡費用の合計額を超える場合には、その超える部分の金額は控除することができません。

①と②については、相続税の申告期限から3年以内に分割された財産にについては適用があります。ただし、当初申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を税務署に提出していることが要件となっています。「分割見込書」を提出することで、未分割だった遺産が申告期限から3年以内に分割された場合、分割された日から4ヶ月以内に更正の請求を行うことにより、①②の適用があります。

3年を経過しても、訴訟等で遺産分割が決定していない場合には、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を、3年を経過する日の翌日から2ヶ月以内に提出する必要があります。事由が完結した日の翌日から4ヶ月以内に分割されれば特例の適用が受けられます。

申告書の共同提出

相続税法第27条5項に、「同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者等が2人以上ある場合において、当該申告書の提出先の税務署長が同一であるときは、これらの者は、政令で定めるところにより、当該申告書を共同して提出することができる」と規定されています。

したがって、相続人ごとに申告をするのが原則でしょうが、共同して申告することもできる、ということです。

連帯納付義務

連帯納付義務

相続税の納付にあたっては、各相続人間において、連帯納付義務が課されています(相続税法34条)。したがって、お互いに完納していることを確認することも大切です。

連帯納付義務は相続税の本税のみでなく、利子税も含みます。

税務署は、相続人のうち誰かが納税を怠れば、他の相続人に滞納の事実を伝えた上で納税を要求します。

■解除要件

 次のいずれかの要件に該当する場合は、連帯納付義務が解除されます。

解除要件 解除範囲
相続税の申告期限から5年を経過しても連帯納税義務者に納税通知が発行されていない場合 全て
納税義務者が相続税の延納の適用、または納税の猶予を受けた場合 延納の許可、または納税の猶予を受けた部分

納税猶予とは、農地や非上場株式等を相続した場合に、特例で相続税の納税を猶予されることです。

改葬手続き支援

 墓に埋葬してある遺骨を別の墓に移したり、墓そのものを別の場所に移すことを改葬といいます。 

改装を行うには、市区町村の許可を受けることが法律で定められています。

■改葬手続きの流れ

①改葬先を決める

 墓地、納骨堂、樹木葬、散骨等の選定をします。

 改葬することについて、縁故ある親族に同意を得ておくことが大切です。

②改葬の希望を、現在遺骨を埋葬してある墓地の管理者に相談

③「永代使用許可書」「受入証明書」の発行

 改葬先の管理者から発行してもらいます。

④「埋葬証明書」の発行

 改葬元の管理者から埋葬証明書を発行してもらいます。

 改葬許可申請者と墓地使用者が違う場合は、墓地使用者の「改葬承諾書」が必要です。

⑤改葬許可の申請

 現墓地がある市役所に、改葬許可申請書と必要書類を提出

 改葬許可申請書は、市区町村役場で入手します。

⑥「改葬許可証」の発行

⑦依頼する石材店の決定

⑧閉眼供養や抜魂式を執行し遺骨を搬出。移送先へ搬送。

⑨納骨、開眼法要

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